プロ野球(NPB)は2月1日、セ・パ全12球団が一斉に春季キャンプに入る。本紙では、今季から横浜DeNAベイスターズに復帰する平塚市出身の古村徹投手(25)と実姉の二見緑さん(29)にインタビュー。無名の公立校から飛び込んだプロの世界で栄光と挫折を繰り返し、異例ともいえる球界返り咲きを果たした徹さんの数奇な野球人生は、緑さんの目にどう映っているのか。
「また出発点に立つことができました。ほっとしています」。これは徹さんではなく、緑さんの言葉だ。戦力外通告から独立リーグを経て、NPBの世界に舞い戻った足跡を間近で見てきた緑さんにとって、弟の快挙は我がことのようにうれしかった。
徹さんは2011年のドラフト会議で横浜DeNAから8位指名を受けた。140Km/h台の速球を備える本格派左腕に期待は集まったが、入団して間もなく肩を故障、一軍登板のないまま3年後に戦力外通告を受け、ひのき舞台を去った。
昨夏の甲子園を沸かせた吉田輝星投手(日本ハム)や根尾昴内野手(中日)ら毎年多くの逸材が挑むプロの世界にあって、一軍実績がないまま戦力外になった選手の球界復帰は不可能に近い。それでも周囲の反対を押し切り、独立リーグからの再挑戦を決めた徹さんに「戦力外もきっと良い人生経験になる。夢をかなえたいなら続けな」と背中を押した。そう言いながら緑さんは「このころからプロ野球中継は観られなくなりました。とくにベイスターズの試合は」。失意の底でもがく弟の姿と周囲の冷ややかな反応を前に、頬を拭うことも少なくなかったという。
3年間と決めた再挑戦の最終年、150Km/hの速球を手にして横浜DeNAからオファーを受けた。「やったよ」。徹さんからのメールに「良かったね」と冷静に返した。でも内心は「心から感動しました。本当に本当に良かった」。今度はうれし涙が流れた。
徹さんが初めて球技に親しんだのは就学前。緑さんからドッジボールの練習相手を頼まれた。「真剣にボールの投げ方を教えてくれたのは姉さん。これがなければ野球は絶対やってなかったです」
今は野球中継も笑顔で観ることができる。「でも、テレビじゃなく横浜スタジアムで生の徹を応援したいな」。「僕には大切な友人や家族、そして姉さんがいる。一軍のマウンドで必ず恩返しするから」。二人は照れくさそうに見つめ合った。
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