滝桜の子ども 福島へエールの開花 中井町の山口さんが植樹
日本三大桜のひとつに数えられている福島県田村郡三春町の「三春滝桜」。その子どもにあたる桜が中井町に存在する。同町松本在住の山口一男さんが17年前、滝桜保存会から譲り受けた苗木を植え、見守っている桜だ。故郷福島の空を思い、今年も見事に咲いた。
三春滝桜は神代桜(山梨県北杜市)・淡墨(うすずみ)桜(岐阜県本巣市)と並ぶ三大巨桜として知られている。樹齢1000年を超えるエドヒガン系のベニシダレザクラで、高さ12m、根回り11m。枝張りは北に4・6m、東10・7m、南13・9m、西14・5mにも及ぶ。満開の花が滝のように何段も流れているように見えることから「滝桜」の名がある。悠久の時を生きてきた荘厳な桜に一目会おうと、シーズン中は約30万人が観賞に訪れるという。
そんな巨木の桜に魅かれた山口さんは「ぜひ中井町にも植えたい」と、三春町の滝桜保存会に交渉。しかし、滝桜は国の天然記念物。枝を切って挿し木にすることなどできない。ところが、盆栽を共通の趣味とする保存会会長と山口さんが意気投合。落下した実から育てた高さ1mほどの苗木20本を譲ってもらうことができた。じつは山口さんは、レベルと格調で最高峰の国風盆栽展にも出展する、経歴45年以上の盆栽愛好家。日本瑞祥愛好会実行委員長を務めている。
山口さんは所有する畑のひな段と斜面に10本、そのほか近所や町内のお社(やしろ)などに苗を植樹。桜が無事に成長するよう、隣近所の人たちが周辺の木の伐採をして協力。花が咲くと、仲間が集まり、花見や音楽会などを催して楽しんでいる。
「滝桜の遺伝子を持った桜が100年先に見事な花を咲かせ、大勢の人がここに集まってくれることを思うと楽しみです」と山口さん。今月20日過ぎ頃に近所の仲間と福島への見舞金を持って三春町を訪問する予定だという。
三春滝桜の子樹がある場所は、県道平塚松田線・新雑色橋信号から雑色トンネルを抜けてすぐの右側前方。道路下側から見える。
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