東海大学医学部付属大磯病院薬剤科と平塚中郡薬剤師会が連携して、街の薬局が患者から医薬品の有害事象を吸い上げる日本で初めてのシステムの構築・運用を進めている。
病院や薬局、製薬会社などの医療機関は、医薬品医療機器法で厚生労働大臣に副作用に関する報告をすることが義務付けられている。しかし実際は病院などからの報告が多くを占め、薬剤師の認識不足や提出書類が煩雑なこともあり薬局からの報告は少ない。
このたび構築された「平塚中郡薬剤師会方式」と呼ばれるシステムは、患者から薬局に寄せられた「めまいが多くなった」「眠気が強い」「肌に発疹が出た」などの声を、有害事象として収集。薬局は、最低限の事項を書く簡易なヒアリングシートに有害事象としてまとめ、報告書として卸業者を通じて製薬会社へとフィードバックする。製薬会社は有害事象の分析を重ね、副作用と判断すれば、厚生労働省に報告する流れだ。
昨年7月13日のスタートから1月末までで、同薬剤師会に所属する26薬局から143件が報告されている。
全国に応用可能
「まずは報告数を増やし、薬局からシグナルを発することが大切」とシステムを発案した東海大学医学部付属大磯病院薬剤科の鈴木優司科長は話す。
海外で開発される新薬は、国内で流通するまで一定の期間を要するドラッグ・ラグが生まれるが、海外での長い運用期間で有害事例が集積されるため、安全性が比較的確保される利点があった。
しかし、ドラッグ・ラグが解消されつつあることで、日本でも率先して患者から副作用や有害事象の声を吸い上げ、医薬品の安全性を確保する必要性が指摘されていた。
この報告システムについて鈴木科長は「基幹病院と地区薬剤師会が連携すれば、国内どこでも応用ができる」と説明し、「全国にある5万8000軒の薬局が報告するようになれば、多くの事例が集まり、副作用や併用を避けるべき医薬品なども見つかるはず」と期待を込めている。今年1月の県薬剤師学術大会でこのシステムを発表したところ、小田原市にある施設から問い合わせが来るなど反響があったという。
平塚中郡薬剤師会の今井裕久会長は「お薬手帳に服用後の変化や症状を記載するなどして、ささいな情報でも寄せてほしい」と呼びかけている。
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