二宮町の袖が浦海岸でツバメの集団が営巣している。渡り鳥のツバメがこの時期にも見られるのはなぜか。専門家の調べで、一年を通して同じ地域に生息する留鳥の「ヒメアマツバメ」であることが分かった。
ヒメアマツバメの営巣場所は袖が浦公園南側の海岸。西湘バイパスの路面裏のコンクリートに大小30を超える巣がある。「二宮で越冬するツバメがいるのかなと思った」。近所に住む渡辺清治さんは早朝の散歩や釣りで「渦を巻くように飛び交う」ツバメたちの光景を眺めてきたという。
状況が変化したのは10月。コンクリートの剥落片の落下を防ぐために、バイパスの路面裏にネットを張る工事が始まった。ツバメの生息に支障が生じることを危惧した渡辺さんは、同バイパスを管轄する中日本高速道路と相談。同社がネットにツバメが出入りできる穴を開けることで対応した。
同海岸のツバメを調査した県立生命の星・地球博物館=小田原市=の加藤ゆき学芸員は「ツバメとは名が付くが、私たちの身近で見られる『ツバメ(ツバメ科)』と『ヒメアマツバメ(アマツバメ科)』は分類が異なり、生態も違う」と説明する。海辺や海に近い建造物にまとまって営巣した事例は全国から報告されているが、民家など街中での営巣事例の報告はないという。「西湘バイパスの下にたまたまあった、イワツバメの巣と思われる古巣を利用しているのではないか」と推測する。
ネットが張られた後、「個体数が減ったようだ」と心配する渡辺さんは「大磯の照ヶ崎海岸に飛来するアオバトのように、ヒメアマツバメが二宮町の観光資源になれば。連中を見守って生きながらえさせてやりたい」と話す。
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