新しい時代「令和」が始まり、新天皇と新皇后が即位される。明治18(1885)年に初代陸軍軍医総監・松本順によって日本最初の海水浴場が開設され、その2年後に大磯駅が開業したことを契機に別荘文化が大きく花開いた大磯は、皇室とのゆかりがある。その幾つかを紹介する。
明治天皇が観漁
明治元(1868)年10月、明治天皇は京都から東京への行幸の途中で大磯の小島本陣に宿泊し、網引き漁を見学した。漁夫が、魚が飛び跳ねる桶を天皇の御前に差し出すと天皇はたいそう喜び、漁夫に菓子を贈ったといわれる。
この出来事を記念して大正7(1918)年、安田善次郎は王城山の頂上に「明治天皇観漁記念碑」を建立した。北浜海岸の堤防沿いにも同様の記念碑が昭和9(1934)年に建てられた。臨時帝室編修局総裁の金子堅太郎が揮ごうした文字が刻まれている。
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国道1号の交差点やバス停の名前にもなっている「さざれ石」。大磯の海岸でとれる玉砂利を指す。この石と見た目がそっくりな菓子が明治のころにあったという。松本順は茶会に出席した際、この菓子をとても気に入り「さざれ石」と名付け、皇室に献上されたと伝えられている。
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政府の要人や財閥の創始者、歌舞伎役者など大磯に別荘を構えた人物のなかには、皇族もいた。
『大磯の今昔』(鈴木昇著)によると、久邇宮朝彦の四男・梨本宮守正王は、大正2(1913)年、西小磯に別荘を設けた。この地区独自の七夕行事では地元の子どもたちが竹笹を振り、みこしを担いで歩き回り、梨本宮邸で菓子やさい銭をもらったことが記載されている。
美智子さまのバラ
大磯城山公園旧吉田茂邸地区のバラ園には「プリンセスミチコ」という品種のバラが咲く。濃いオレンジ色の四季咲きで、イギリスの種苗会社から当時の皇太子妃美智子さまに捧げられ、吉田邸のバラ園から全国に広まったという。
バラの愛好家だった吉田茂が首相を退いた後、当時の皇太子ご夫妻が吉田邸を訪問された。平成14(2002)年にはエリザベス・サンダース・ホームと聖ステパノ学園を天皇皇后両陛下(当時)が視察された。
両陛下をお出迎え前中井町長の尾上さん
四大行幸啓のひとつ全国植樹祭が神奈川県で平成22(2010)年に開催された。このとき天皇皇后両陛下は中井町にある県の障害者福祉施設「中井やまゆり園」を訪問、中井町役場にも立ち寄られた。
県知事や県議会議長らと両陛下を庁舎玄関で出迎えた前町長の尾上信一さんは「ずっと緊張したままで昼食をご一緒しました。大勢の町民が役場前の道路で日の丸の小旗を盛んに振って、歓迎と感激の笑顔であふれていたことを思い出します。このときの写真はこれからも大切に飾ります」と振り返った。
大磯・二宮・中井町平成の出来事
【平成元年】大磯町制100周年/県道秦野二宮線バイパス全線開通【2年】県立大磯城山公園開園【3年】地方創生交付金1億円を活用して二宮せせらぎ公園が開園【5年】中井中央公園の整備始まる【6年】二宮町民温水プール完成【9年】城山トンネル開通
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【10年】かながわゆめ国体が開催され、大磯町でゴルフ、二宮町でゲートボール、中井町でソフトボール競技が行われた【15年】高麗大橋開通【16年】大磯町と国府町の合併50周年【17年】二宮町制70周年【19年】台風9号による影響で西湘バイパスが崩落
【20年】中村と井ノ口村の合併による「中井」誕生100周年【21年】旧吉田茂邸が火災で焼失【24年】横浜地方法務局西湘二宮支局完成【28年】東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんがノーベル生理学・医学賞を受賞
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【30年】中井中央公園内にカフェとガーデンを整備した交流拠点がグランドオープン/明治150年を記念し、「大磯邸園」と位置付けて旧大隈重信邸と旧陸奥宗光邸の邸宅と庭園、旧伊藤博文邸の外観が期間限定で特別公開された【31年】星槎国際高等学校湘南女子サッカー部が創部5年で全国大会初優勝
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