戦争の記憶を後世に伝え、平和を願う「ガラスのうさぎ像 平和と友情のつどい」が、二宮町生涯学習センターで8月6日に行われた。二宮空襲などで肉親を失い、戦争体験を記した児童文学『ガラスのうさぎ』の著者・高木敏子さん(87)が8年ぶりに出席。「戦争は人の心が起こす。戦争をしない心をしっかり持ってください」と呼びかけた。
「もう一回、二宮の人に会ってお礼を言いたかった」。車椅子で登場した高木さんは、昭和20年3月の東京大空襲で母と2人の妹を失った。終戦間近だった8月5日、疎開先の二宮町で米軍艦載機による機銃掃射に遭い、目の前で父も奪われた。「どの家でも薪が貴重なとき。小田原の火葬場へ行くのに、友だちが1本2本と薪を持って来てくれました」と、戦争体験や二宮で受けた恩を語った。
「なぜ戦争なんてしたのか。戦争という二文字で人が殺されることがないように」。子ども心にそう思い続けてきたことを書いたのが『ガラスのうさぎ』であることも紹介した。
高木さんは年齢を重ねて病気と向き合いながら、全国で約1700回に及ぶ講演を行ってきた。医師から活動を止められていることを打ち明け、「疎開で約1年過ごした二宮は私にとって忘れることができない。講演はこの二宮で今日を最後にします」と発言。「憲法を守って昭和の終わりと平成は戦争がなかった。戦争をしない心を持ち、みんなで戦争に反対してほしい」と思いの丈を伝えた。
つどいには、村田邦子町長と町民ら約500人が参加。戦争犠牲者へ黙とうを捧げた。
平和を祈り千羽鶴6万
二宮駅南口に建つガラスのうさぎ像の周囲に、色とりどりの約6万羽の千羽鶴が8月1日から15日まで飾られた=写真。
二宮町の小中学校と二宮高校の児童・生徒、老人クラブや同町と交流のある長野県高山村ほか町内外の個人・団体が平和を願い、折り鶴を作製。実行委員会と同高校家庭科部の生徒らが、糸を通して千羽鶴に仕上げた。
ガラスのうさぎを抱く少女の像は、高木さんの著書に由来。作品がテレビドラマや映画の原作になり、全国に知れ渡ったことを機に、町民有志の呼び掛けで平和と友情のシンボルとして像を建立する運動が始まった。多くの町民と全国から寄付金が集まり、1981年に設置された。
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