山林所有者や地域住民が持続的に森林を管理・活用して生業とする「自伐型林業」について学び、大磯町での可能性を考えるフォーラムが、8月25日に同町保健センターで開かれた。
大磯町は面積の約3分の1が山林。町北部域に広葉樹林が広がり豊かな山林資源に恵まれているが、近年は未整備林や放置林が多くなり、倒木や周辺農地の日照阻害、イノシシなどによる農作物被害といった問題が発生している。町は問題の解決と新たな産業の創出、移住・定住促進などを目的に、従来の林業に比べ参入が容易で持続性・環境性に優れる自伐型林業の推進を図っている。
「大磯モデル」構築へ
フォーラムには林業に関心のある町民を中心に約90人が集まり、県外からの参加者もあった。基調講演では、NPO法人自伐型林業推進協会の中嶋健造代表理事が国内林業の現況や自伐型林業の実例などを紹介し「森林資源の豊富な日本は林業の最適地。自伐型林業は従来の林業に比べ低投資・低コストで参入でき、研修を受ければ素人からでも始められる。兼業や副業でもできるので移住促進にもつながり、地方創生のカギになる」と力説した。
続いて町が昨年度に実施した町内の山林踏査や関係団体へのヒアリングの結果報告が行われ、広葉樹を主軸にした薪の製造販売や兼業・副業型林業の推進など、町の特徴を踏まえた『大磯モデル』を提案。併せて初期投資や山林所有者と新規参入者のマッチング、生産物の販路確保への支援などの必要性が挙げられた。
先駆者が助言
フォーラムの後半には、各地で自伐型林業を実践している団体によるパネルディスカッションが行われ、各団体の代表が活動発表をして参加者からの質問に答えた。
静岡県熱海市で活動する熱海キコリーズの能勢友歌代表は「女性が多く、ウェブデザイナーや写真家などの副業として参加している人がほとんど。重い機械も扱うが、負担の少ない持ち方を教えてもらっている。山を愛しているメンバーなので木を伐り過ぎないように活動している。最近、体験教育事業も始めた」と生の声を伝えた。
「課題が多く、林業に踏み切れない」という質問に対し、今年1月から活動する大磯きこりラボラトリーの山中紀幸代表は「動かないと始まらない。今やれることの中にある課題に取り組み、それを続けていくことが大切」とアドバイス。中嶋代表も「大都市に近い大磯で、ぜひ林業の6次産業化に取り組んでほしい」と語った。
町は同協会の協力を仰ぎ10月から全4回の林業初心者向け実務研修を開いて、チェーンソーの取り扱いや選木、伐倒、森林経営などについて指導する。先着申し込み順で定員15人。9月2日(月)まで。問い合わせは町産業観光課産業振興係【電話】0463・61・4100へ。
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