山で遭難した人をドローンとAI(人工知能)を使って捜し出す先端技術の体験授業が、二宮中学校で2月26日に行われた。3年生116人が自分たちの知恵をAIに学習させたり、研究開発者から夢や可能性を切り拓いていくことの大切さなどを学んだりした。
体験授業の題材となったのは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構=川崎市=と、民間企業のロックガレッジ=茨城県古河市=が開発した広域人命捜索システム。ドローンから送られる映像や位置情報をもとにAIが人影を発見して迅速な人命救助につなげる。捜索関係者は情報を共有し、捜索の状況をモニタリングすることもできる。
生徒たちはドローンの飛行実演を見学し、操縦を体験。ロックガレッジの岩倉大輔社長(34)による講義で、AIに情報を注釈として付与する「アノテーション」を行うことでAIがより賢くなるという話などを聞いた。二宮町の吾妻山公園で消防訓練の際に空撮した映像を用いて、アノテーションを試した。遭難者と仮定した人や物体の画像を「明らかに人である」「人のように見える」「人のように見えない」「人ではない」の4通りで判断し、その回答をタブレット端末に入力。AIの画像解析と遭難者を検知する精度が改善した結果を確認した。
他人と違う能力伸ばす
岩倉社長は自身の経歴や起業についても語った。千葉大学4年のときに「優秀な人が集まるところで自分も成長することができる」と、あえてハードな研究室へ入り、ドローンと出会った。「空から情報を得ることは世の中の役に立つ」。ドローン開発の会社を2018年に設立。楽天と協力して荷物の宅配ドローンの開発に取り組み、NECと空飛ぶ自動車を研究している。
「高校の3年間で自分の能力を精一杯伸ばすことが重要なカギになる」「人と違うことを恐れないでチャレンジしてほしい」と生徒たちへメッセージを送った。
授業を受けた3年生は「AIを身近に感じた」「技術が進化していることに興味を持った」などと感想を話した。
体験授業は二宮西中学校でも25日にあった。町では、子どもたちが先端技術に触れながら将来の進路について考えるきっかけとなるよう、次世代に目を向けた教育に生かしていく考え。
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