二宮町で栽培されているオリーブの葉と枝で布を染め、商工会女性部がマスクを製作した。ご当地マスクで「湘南オリーブ」と町を広くPRする。特産品を生かした加工製造や商品開発などのヒントとして事業化を目指す人の後押しもしていきたいという。
「新型コロナウイルスの感染予防にマスクは必須アイテム。女性部の活動で何かできないかと、オリーブで布を染めるところからマスク作りを企画した」。今井惠子部長はそう話す。女性部の仲間で、オリーブ商品のセレクトショップを営む「まつき農園」の松木かをりさんの指導で染色の講習を実施したことがきっかけとなった。
古民家ふるさとの家で7月上旬に2日間かけ、1m四方の白い木綿の布14枚を染める作業に汗を流した。寸胴鍋に沸かした湯に布を30分浸して下処理。オリーブの葉と細かく裁断した枝を煮出し、染色液に布を沈めた。染めむらができないよう、布を広げるように棒でひたすらかき回し続けた。
布を鍋から上げて水ですすいだら、色を定着させるための媒染剤に漬け込むこと20分。温度を約60度に保ちながら、再び煮汁に浸す。手作業でこれらの工程を繰り返し、オリーブ色の緑と黄色系の2色の布を染め上げた。「うまく染まると、深い金色のような色が出る」と松木さん。
同月下旬に200枚の立体マスクが完成。染めむらが出てしまった部分にはレースを重ねる工夫をして、おしゃれなマスクに仕上げた。女性部の部員と商工会の役員、会員事業所などへマスクを配布。さらに100枚を製作中で、町のPRに活用する予定だという。
事業提案に特産品
地魚の消費拡大や観光推進などを目的に、女性部ではサバのすり身をカレー風味のパテにしたオリジナルメニュー「おとちゃんバーガー」を4年前に考案。商工まつりや県の催事などで販売した。地域経済の振興につなげようと、イベント時以外でのメニュー普及にも力を注いだ。町内のパン屋や飲食店などがレシピにアレンジを加え、各店舗のおとちゃんバーガーを提供している。
「これまで食に着目してきたが、食以外の分野でも商品開発やオリーブ産業の活性化を図っていきたい」と今井部長。今回の取り組みを参考に、オリーブ剪定枝の活用や染色・縫製加工、製品販売などの起業が展開されることを期待する。
町へ寄贈
今井部長と部員たちは7月31日に町役場庁舎を訪れ、マスク50枚を届けた。「シックな感じの色合いがよく、二宮らしさがありますね」と村田邦子町長が試着した。
大磯・二宮・中井版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|