大磯町教育委員会は、いじめや不登校など学校で発生する様々なトラブルに対し、弁護士が法律の見地から解決に向けた助言を行う「スクールロイヤー」の任用を始めた。法的知識の不足から学校が判断に迷う事案をサポートすることで、問題の早期解決や教職員の負担軽減などの効果が期待されている。
導入の背景には、学校で発生するトラブルの多様化・複雑化がある。シンプルな構図のいじめが鳴りを潜める一方で、貧困や虐待などに起因する、対応に法的知識が必要な事案が増加。学校の判断に納得がいかず当事者が不信感をもったり、解決後も児童や保護者間に遺恨が残るケースも少なくない。
文部科学省では今年度からスクールロイヤーを全国に配置していく方針を打ち出しているが、それを待たず独自に導入する自治体も出てきている。近隣では茅ヶ崎市などがあるが、大磯のように町レベルで導入する自治体はまだ少ない。背景には、大磯のいじめ認知件数が関係している。
自治体によりカウント方法にばらつきがあるものの、県内の小中学校1校あたりのいじめ認知件数(2018年度)は平均で小学校23・5件、中学校11・2件。これに対し大磯町は小学校779件、中学校91件と飛びぬけて多い。対応にあたる学校現場のサポートは急務だった。町教委は「いじめ問題対策・調査委員会」の委員を務める弁護士から紹介を受け、学校の問題に精通した村松謙弁護士の任用を決めた。任用後、村松氏は町内の町立学校4校を回って各校の状況や抱えている課題の聞き取りを行った。村松氏は大磯町横溝千鶴子記念教育研究所に籍を置き、学校が法律に基づいた助言や組織的な対応が必要と考える事案について相談を受け付ける。また学校の要請に応じて、いじめの予防教育も行う。同研究所の鈴木義邦所長は「スクールロイヤーは子どもたちのための弁護士。被害者と加害者双方の権利を守りながら、第3者的視点で公正に判断してくれる。問題に対し学校が迅速・適切に対応するための力強い助言者となり、トラブルの未然防止や再発防止につながれば、安心して通える学校づくりが進められる」と期待を寄せる。
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