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『音楽プロデューサーとは何か』(毎日新聞出版)を上梓した 寺本 幸司さん 大磯町西小磯在住 82歳

公開:2021年4月30日

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寺本 幸司さん

惚れた才能 世に送り出す

 ○…シンガーソングライターの浅川マキさん、桑名正博さん、りりィさん、南正人さんのデビューから世を去るまでプロデュースに携わった。才能を持つ彼らに惚れ込み、「一番目のファンは俺だ」と自負する。「アーティストを下から見上げる姿勢」で全身全霊をかけてきた自身の仕事について本を綴った。「彼らの歌は死なない。自叙伝でも回想録でもなく、ドキュメントとして読んでほしい」と語る。

 ○…東京・月島で生まれ育つ。実家は陶器店。新聞記者を志し、日大芸術学部文芸学科へ。大学3年からアルバイトで俳優・伴淳三郎の付き人兼マネージャーとして働いた。大好きな映画の撮影現場に立ち会えるのが楽しかったという。目配り・気配り・心配りが利く青年は、俳優から全幅の信頼を置かれたが、3年ほどで身を引いた。事務所と同じビルにあった洋菓子と喫茶のアマンドから声が掛かり、24歳で企画部長に抜擢された。

 ○…出る杭は打たれる。そんな経験も幾度かあったようだ。同人誌に小説を発表しながら、テレビ番組の輸入販売や外国人パフォーマーの招へいをした。日本にはまだなかったマイナー・レーベルのアビオン・レコードを興したのは27歳のとき。人との出会いと持ち前のバイタリティーで仕事に打ち込んで来た。

 ○…「ブレッド&バターのコンサートに行かなかったら、大磯町に住んでいないかも」。11年前、東京から拠点を移した。聖ステパノ学園講堂の海の見えるホールへ夫妻でコンサートに訪れ、大磯に一目惚れ。「海と山があり、駅前の雰囲気がいい。歴代8人の首相が日本国を考えた場所に魅力を感じた」。思い切って車を手放し、歩いて健康づくりの日々。巣ごもり生活もそれほど悪くないと、にんまり。

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