二宮町の川勾神社で10年前に台風で倒れた樹齢約400年の御神木が、売札所に生まれ変わった。釘を使わずに2つの木材をつなぎ合わせる金輪継(かなわつぎ)などの伝統技法を使い、町内に住む大工の添田清さん(79)が建てた。
2011年9月に発生した台風15号は東日本を縦断。暴風による影響で同神社境内にあった御神木の夫婦杉の1本が根こそぎ倒れた。神楽殿に覆いかぶさり、屋根の一部が損壊した。
「木材に利用できる」という製材所の勧めで、長さ20mを超える御神木を分割して境内で保管。参集殿に売札所を設けることになり、その材料として御神木を生かした。
町内にある城所製材所が木材に加工。幹の中心部分にあたる赤身と呼ばれる芯材を、カウンターと天井板、鴨居、側面の妻板といった構造体に使用した。同神社や近隣の西光寺の大日堂、浅間神社などの修繕も手がけた添田さんが5月から売札所造りに取りかかり、8月末に完成した。
川勾神社の元氏子総代である添田さんは「大勢の人がお参りに来る場所。より良いものを造りたかった。樹齢400年のそれも御神木。一生に一度扱うことができるかどうかといえる貴重な木を使わせてもらい、やりがいがあった」と話す。
風水害を鎮めて豊作を祈る風神祭と毎月恒例の月次(つきなみ)祭が9月1日に行われた。氏子総代と責任役員が参列し、同時に売札所の開所を祝った。風の神である級津彦命(しなつひこのみこと)を祭っていることにちなみ、添田さんの名前から一文字を取って「清風売札所」と名付けることにした。
「200年、300年かけ地元で育った樹木を使って神社が建てられ、何百年と続いてきた。御神木の売札所ができたことも歴史の中の一つの出来事として次の100年につながっていくと思う」と二見直樹宮司。
御神木の残りの木材で作ったお守りを10月10日から頒布するという。
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