大磯町と島根県美郷町が、11月10日に地域活性化に向けた包括連携協定を締結した。鳥獣害対策をきっかけに交流を深め、それぞれが持つノウハウやネットワークを提供し合うことで町が抱える課題の解決や経済振興、地域活性化などにつなげていく。
美郷町は島根県の中央部に位置する人口約4400人の山あいの町。近年、町ぐるみの鳥獣害対策やジビエなど害獣資源化の取り組みの先進地として注目され、全国から多数の視察が訪れている。大磯町では美郷町から専門家を招いた鳥獣対策講習会を2015年度から実施しており、被害対策で一定の効果を上げたことで教材や農業系雑誌に取り上げられたこともある。こうした縁から19年に美郷町長が大磯を訪れ、大磯町長と今後の連携などについて話し合っていた。
相乗効果に期待
協定はそれぞれの町で進められている地域活性化に向けた住民や事業者の動きを支援するためのもので、鳥獣対策の先進的技術・知識・人脈を集積して産官学民で地域おこしに取り組む美郷町の「美郷バレー」と、町や地元事業者らでつくる大磯町の「大磯らしい潤いづくり協議会」が連携して事業を展開していく。大磯町は鳥獣対策のノウハウ導入による鳥獣被害・捕獲経費の削減、美郷町には首都圏での特産品の販路拡大や獣害研修の受け入れによる来訪者の増加などのメリットがあり、コラボ商品の開発や観光誘客の相互連携などの相乗効果も期待されている。美郷町はこれまでに同様の協定を2市と締結しているが、関東の自治体は大磯が初めて。
大磯の持つ海のイメージと美郷バレーから、別称「ビーチ&バレー協定」と名付けられたこの協定。11月10日に美郷町で締結式が開かれ、中崎久雄大磯町長と嘉戸隆美郷町長が協定書にサインした。中崎町長は「住民が地域を愛して獣害対策に取り組む姿をお手本にして、交流を進めていきたい」と話し、嘉戸町長もこの日のフェイスブックに「住民も交えた地に足のついた連携、交流をしていきたい」と綴っている。また協定締結に合わせて、大磯港のOISO CONNECTで美郷町のジビエ缶詰の販売が始まった。
マイナスをプラスに
鳥獣害対策は、大磯町積年の悩み。町は農作物の被害を防ぐために設置する罠の維持管理や捕獲した獣の最終処分などの委託費として年間約500万円を負担している。担当課は「美郷町を参考に持続可能な大磯モデルを確立し、マイナスをゼロからプラスに変えていきたい」と話している。
![]() コネクトで販売が始まった美郷町のジビエ缶詰
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