大磯町西小磯在住の金子智紀さん(27)が全国の介護施設を回って収集した優れたケアの実践例から、共通のパターンを抽出して30個の言葉にまとめた書籍『ともに生きることば』が、1月に丸善出版から発行された。井庭崇慶應義塾大学総合政策学部教授との共著。
金子さんは大磯小・中・高校出身。現在は同大SFC研究所上席所員、同大大学院政策・メディア研究科後期博士課程に在籍している。介護・福祉を研究テーマに2018年度から取り組んでいるプロジェクトの成果を一冊にまとめた。
プロジェクトのメンバーで全国の介護施設を巡り、ケアをする・されるという関係を超えて、誰もが「ともに生きる」ことができる場所を実現している人たちにインタビューを行った。「良い施設は地域に開かれ、利用者が生き生きとしている。施設は暮らしの場なので『正解』はなく、人の生活はマニュアル化してはならない。優れた実践例とその背後にある考え方を共有することが大切」と金子さん。コロナ禍でインタビューがしづらくなると施設にスタッフとして住み込んで働き、半年間、日常の介助から看取りまで経験。利用者やその家族とも親しくなり「ともに生きるというのは、きれいごとではなく、そこまでしっかりと関わることなのだ」と実感したという。
迷った時に役立てて
「利用者が『ここで暮らせて本当に良かった』と心から思えるようなケアや場作りに大切な考え方や新たな取り組みをするためのヒントをまとめている。答えは読む人がそれぞれに考えてほしい」と金子さん。書籍はB5変形サイズ、124頁。書店やネットショップで税込1430円で取り扱っている。また、多人数で意見を出し合えるカード版もある(税込3500円/amazonでのみ販売)。
「高齢者に限らず、障がいのある方や子育て、教育など様々なケアに関わる人に共通して活用できる本。一度読んで終わりではなく手元に置いて、迷った時などに取り出して役立ててもらえれば」と話す金子さんは、今後も研究を続けながら研修や読書会をオンラインなどで企画していくという。予定はフェイスブックページで発表する(「『ともに生きることば』活用・実践コミュニティ」で検索)。
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