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エールの「とんぼ」飛ばす 震災11年 石巻市へ飾り結び

社会

公開:2022年3月11日

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飾り結びで作られた「しあわせ(復興)とんぼ」と田中さん
飾り結びで作られた「しあわせ(復興)とんぼ」と田中さん

 後退することがなく、前にだけ進む習性にあやかり、トンボのブローチを製作している飾り結び教室の主宰者・田中初枝さん=二宮町=とその生徒たちが3月3日、石巻市の中学校へブローチ100個を送った。「昨年に続き、卒業記念品の一つに加えてもらえれば」という。

 幸福が訪れることを願い、「しあわせ(復興)とんぼ」と名付けた結び飾りは1本の紐で作られ、総角(あげまき)結びの伝統技法を用いているのが特徴。神社仏閣や相撲の幕、印籠、兜や鎧の飾りなどに魔除けの象徴としてこの結びが使われている。

 東日本大震災が発生した2011年、田中さんたちは被災地の人々の力になりたいと、しあわせとんぼ300個を石巻市役所へ届けた。大磯町の南本町会館で教室を開き、同町が職員を同市へ派遣していたことから、送り先に選んだ。その後も製作を続け、東北に郷里がある人や関心を寄せる人などへ配布。一つひとつにメッセージも添えた。震災から10年目の昨年、再び石巻へ送り、市立青葉中学校を卒業していく3年生に渡された。

 新型コロナで中止になる以前は、大磯町文化祭に毎年出展。体験コーナーで来場者にとんぼ作りを教えた。また、振袖の着付けを頼まれた縁で、今年1月に二宮町で行われた1年遅れの成人式に若者へのエールを込めて100個を贈った。

 田中さんは「35年続けてきた小さな教室の小さな運動ですが、震災を忘れないよう、教室が続く限り生徒さんたちと一緒にしあわせとんぼを飛ばしていきたい」と話す。

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