晩年を大磯で過ごした文豪・島崎藤村の遺徳を偲ぶ墓前祭「藤村忌」が、命日の8月22日に大磯町の地福寺(櫻井定賢住職)で4年ぶりに通常開催された。大磯町観光協会主催。櫻井住職がお経をあげたほか、石井晴夫観光協会長や池田東一郎大磯町長、一般参列者ら約30人が献花や献香で文豪をしのんだ。
石井会長はあいさつで、「地福寺の先代住職、智定さんとは同級生だった。高校生の頃、本堂でエレキギターやドラムの練習をしたのが昨日のことのよう。藤村さんはさぞびっくりされたことでしょう」と思い出を振り返った。「いい青春を過ごさせてもらい、こうしてしのぶ会を開催できたことに感謝します」と締めくくった。
池田町長は、藤村が明治学院(現・明治学院大学)に進む前に在学した「共立学校」(現・開成高校)の出身であることから、「不思議なご縁を感じる。藤村先生が残してくれたものを、いかに大磯のまちおこしにつなげるかが私の宿題なんだと思う」と話した。
献香後には、明治学院大学OBたちが藤村の墓前で校歌を披露する場面もあり、藤村を慕う参列者で和気あいあいとした雰囲気だった。
詩集『若菜集』や小説『破戒』『春』などで知られる島崎藤村は、1941年に大磯の左義長を見物に訪れた際に大磯の温暖な気候を気に入って町内の平屋建てに移り住んだ。2年後の8月、小説『東方の門』を執筆中に倒れ、静子夫人に「涼しい風だね」の言葉を残して71年の生涯を閉じた。大磯町は75年、藤村に名誉町民の称号を贈っている。
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