大磯町高麗在住の年名佐葉子さん(56)が、高麗地区の歴史や文化を発信する新聞「こまねこPress」を発行している。年名さんは「高麗は地名からもわかるように、1300年前に朝鮮半島から渡来した人々が開拓したという、独特の歴史があるまち。移住者や若い世代の人にも地名の由来を知ってもらい、語れるようになってもらえたらうれしい」と編集を続ける。
「高麗」という地名は668年、当時朝鮮半島北部にあった高句麗の滅亡と共に難を逃れてきた人々が、高麗王若光に率いられ船で大磯に上陸し、開拓したことが由来とされている。
高麗王若光に率いられた渡来人たちは、化粧坂周辺で耕作を開始。高句麗の技術や文化を広めた後、大和朝廷の任命により武蔵国(現埼玉県日高市周辺)へと集められ、現在の千葉や茨城などに住んでいた渡来人たちと共に高麗郡を創設したといわれている。
2023年10月に創刊したこまねこPressでは「高麗」の地名の由来や、埼玉県日高市との接点について特集した。1000年以上前から高麗地区に住む「こまねこのコマネ」が、地域の歴史や文化を自由気ままにつぶやくという設定で、読者に親しんでもらえるようにと工夫した。
年名さんは大阪府出身。結婚を機に13年前に大磯町に移住した。地名の由来について調べている中で読んだ高麗神社(埼玉県日高市)の宮司・高麗文康さんの著書『陽光の剣 高麗王若光物語』に、若光が奈良県の大和朝廷を訪ねていたと記されていたことから、「西の方から来たという意味では若光さんたちと同じ。親近感を抱いた」と話す。
「2カ月に1度のペースで日高市を訪ねる」という年名さん。若光を主祭神としてまつる高麗神社や、若光の墓がある高麗山聖天院などを巡り、現代に残る朝鮮半島の文化を見つけては、若光らの足跡に思いを馳せる。
今年4月発行の「辰年 春号」では、高来神社の夏の例大祭「御船祭」の由来にもなった蛸江之丞の伝説を紹介。木遣り歌の歌詞も掲載した。
伝承として残るものが多く、史料も限られているが、大磯ガイド協会や地域の人に取材し、できる限り裏取りをしているという。年名さんは「地元の歴史や文化に関心がある人を増やすことで伝承を残し、まつりなどの担い手不足解消にもつなげたい」と話していた。
こまねこPressは大磯駅前観光案内所などでもらうことができるほか、インスタグラムでも見られる。
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