大磯警察署長に就任した 磯野 正彦さん 警視 53歳
地域の声聞き、治安守る
○…9月4日付で大磯警察署長に就いた。署員には、地域住民の声を受け取って職務を遂行するようにと訓示した。県西エリアへの赴任は初めて。管内の印象を「住民の結束力や連帯感が強い土地柄ですね」と話す。土日に官舎の周りを散歩していると、近所の人が気さくに声をかけてくれるそうだ。署長を務めるのも、ここが初めて。「大磯町と二宮町の治安をしっかり守っていくことの重責を感じています」。自身に聞かせるようにそう語る。
○…山梨県出身。恩人だという、父の同級生から警察官の道をすすめられた。「制服への憧れもあって」神奈川県警へ。川崎での交番勤務を皮切りに機動隊員や航空隊長、横浜の緑警察署副署長などを務める。県警本部生活安全部では犯罪抑止を担当した。2002年に約19万件あった刑法犯の認知件数は、昨年およそ6万7千件。3分の1近くまで減った。「防犯カメラの普及や住民による自主パトロール活動などの成果もあります」。犯罪者を寄せ付けない町づくりへの取り組みに防犯幟(のぼり)の掲出を一例に挙げ、「ただし、古い幟を出しっ放しでは逆効果になってしまう。隙を見せないことが肝心」と訴える。
○…34年間の警察官人生で決して忘れることができないのは、日航ジャンボ機墜落事故だという。神奈川県警から群馬県へ赴いた警察官のひとり。御巣鷹の尾根で犠牲者の亡骸を担架に運ぶ活動にあたった。事故発生からこの夏で30年が過ぎた今でも「昨日の事のようです」と言葉少なに振り返る。阪神淡路大震災でも現地へ派遣された。
○…横浜に住む家族と離れ、官舎で暮らす。自炊をするそうで「スマホでレシピを調べています」とはにかむ。警察官にとってはそれらが日常であっても、事故や事件に遭遇して不安な状況にある人々に対し、常に寄り添い、接する態度を心に刻む。「努力すれば必ず報われる」。実直な人柄がにじむ。