3月13日付で大磯警察署長に就いた 川口 博幸さん 59歳
正義感は揺るがない
○…座間警察署から2度目の署長職となる大磯署に着任した。管轄区の犯罪発生状況の傾向に目を凝らし、「危機意識を持って全力で職務に取り組んでほしい」と署員に訓示した。地域の会合などで高齢者を狙う詐欺について住民に注意を促す際は、具体的な手口を説明するよう求めたという。「改元を口実にした詐欺や、命まで奪われる『アポ電』強盗事件も起きた。不審な電話があったら、だまされなくても警察に通報を」と呼び掛ける。
○…小田原市出身。中学・高校時代に刑事ドラマ「太陽にほえろ!」に熱中した。「同窓会での旧友との思い出話によると『刑事になる』と公言していたようです」。戸塚署で交番勤務から警察官人生をスタート。新米のころ、酔漢が暴れているとの通報で現場へ急ぎ、日本刀で切りつけられそうになった。機動隊や機動捜査隊を経て念願の刑事に。発砲殺人に及んだ指定暴力団の抗争事件などを担当した。「撃たれて死ぬかもしれない」。拳銃を持って逃走した被疑者を追い詰めたときは、不安がよぎったと打ち明ける。危険が伴う仕事場で被害者遺族に心を寄せ、「犯人を必ず捕まえる」という信念と正義感を貫いてきた。
○…「若者のセンスが思いがけない捜査手法に生きる。家族のつもりで接し、本音で語るには自分から胸襟を開かなければ」。捜査チームを率いた日々は若手の力を引き出し、自宅に部下を招いて酒を酌み交わした。客人から「おやじの跡を継げ」と言われた息子は父と同じ警察官を選んだ。
○…大磯・二宮町の印象は「歴史があり、名所や旧跡も多く、落ち着いた土地」。スキーや山菜・きのこ採りが趣味だが、仕事柄、遠出や旅行とご無沙汰している。もうしばらくは地域の勉強を兼ねたウォーキングが休日の過ごし方になりそうだ。