その生態から「乗っ取り屋」とも呼ばれるチャイロスズメバチが、大磯の丘陵部に生息していることが確認された。これまでも目撃の記録はあったが、40年以上にわたり大磯に生息する昆虫の調査を続けている渡辺康生さん(76)=国府新宿在住=が、8月に1カ月にわたり大磯丘陵にある1本のクヌギに飛来する昆虫を調べて詳細な観察記録を取った。県内に生息する昆虫についての記録をまとめた神奈川昆虫談話会の会誌「神奈川虫報」に、近く写真付きで投稿する予定という。
チャイロスズメバチは、スズメバチ特有の黄色と黒の縞模様がない真っ黒な腹部が特徴。女王蜂はモンスズメバチやキイロスズメバチの女王蜂を殺して巣を乗っ取り、その巣の働きバチに自身の子育てを手伝わせて繁殖する。「獰猛な性格で、観察中もクヌギの樹液に集まってくるオオスズメバチ以外の虫を追い払っていた。人にも危害を加える」と渡辺さん。現在も観察を継続しているという。
またこの観察の際、クヌギの木にカナブンなどの甲虫やチョウ、ガなど11科23種の昆虫が飛来したことを確認した。「あらためて大磯丘陵に多くの昆虫が生息することが確認できた。大磯は昆虫の宝庫。地元の皆さんにもそのことを知ってもらい、誇りに思ってもらいたい」と思いを語った。
調査にまい進
「ケカオクロハナアブ」を本州で初めて確認するなど、数々の新発見をしてきた渡辺さん。近年は県の依頼で南足柄や小田原周辺の昆虫調査にも取り組み、県のレッドデータブック作りにも協力している。地球温暖化の影響で昆虫たちの生息域も変わってきている今、調査に終わりは見えないが「大変だけれど、まだ見ぬ昆虫と出会う喜びと新たな学びがあるので続けられる」と少年のように目を輝かせた。
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