田畑を荒らして農作物に被害を与えるだけでなく、近年は住宅地にも出没しているイノシシを寄せ付けないために、大磯町で10月24日と25日に鳥獣害対策の講習会が開かれた。二宮町と中井町でも市街地での目撃情報が寄せられ、町が注意を呼び掛けている。
大磯町保健センターで24日午前に座学があり、かながわ鳥獣被害対策支援センターの職員が住宅地における獣害対策の方法について解説。やぶの繁茂や山林・竹林の放置が、動物にねぐらやひそみ場を作らせる原因になっていると話した。また、収穫しないままの庭の果樹や家庭菜園の農作物、地域ねこのえさの放置は餌付けと人馴れにつながるため、餌付けを断ち、地域ぐるみで対策に取り組むことが重要だと伝えた。
午後には東小磯の台町地区を受講者と県・町の職員ら約30人が歩いて回った。公園や駐車場の木、空き地の草むら、民家の垣根、果樹などの現状を点検。「イノシシの目線は人の膝から下あたり。地面からその高さの見通しをよくすることが住宅地における防衛の第一歩」と、同センターの石川智弘さんが具体的な環境整備の仕方を説明した。「みかんや柿が落ちて餌になる。ひそみ場とセットになると、どんどん集まってくる。イノシシをゼロにするのは無理。住宅地に来させないような環境を整えることを目指して」と訴えた。道路にはイノシシの足跡も確認された。地域点検は25日に西小磯東と高麗でも行われた。
遭遇したら刺激しない
一色地区が県の鳥獣被害対策重点地域になっている二宮町では、市街地での目撃情報が2018年に5件、19年は11件、今年は10月初めまでに9件寄せられた。緑が丘、中里、百合が丘などに出没。町生活環境課によると、一色小学校付近の住宅地で今月、イノシシが道路を走っていたとの情報があったという。菜園に被害が及んだ松根地区では住民が町から箱わなを借りて設置した。
中井町では10月2日、井ノ口でイノシシに接触されてけがをした人がいたという。企業団地グリーンテクなかいにも出没しており、町は企業と協力して対策を実施。ホームページなどで町民に注意を促している。
イノシシは元々、警戒心が強く、臆病な性質。もしも遭遇したときは、落ち着いて背中を見せずにゆっくりとその場から離れる。ウリボウには近づかない。刺激を与えないことが大事で、追い払おうとしたり、犬に威嚇させたりするのはかえって危険を招くという。
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