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豪州から旅のキアシシギ 二宮野鳥の会 石川さん発見

社会

公開:2020年11月6日

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中村川で観察されたキアシシギ。右脚の緑色のフラッグに「CZМ」のアルファベットが入っている(石川清隆さん9月1日撮影)
中村川で観察されたキアシシギ。右脚の緑色のフラッグに「CZМ」のアルファベットが入っている(石川清隆さん9月1日撮影)

 二宮町を流れる中村川でこの夏に観察された旅鳥のキアシシギが、オーストラリアで放鳥された個体であることが分かった。二宮野鳥の会の石川清隆さんが、脚にフラッグ(プラスチック製の旗)と足環の付いたキアシシギを発見。キアシシギは葛川でも見られているが、標識鳥が確認されることは珍しいという。

 石川さんがこのキアシシギを最初に見つけたのは、8月10日早朝。いつものようにカメラと双眼鏡を携えて中村川沿いを散歩していた。押切橋から約200m上流の堰の辺りにいたキアシシギを写真に撮ろうとしたとき、鳥の右脚に緑色のフラッグ、左足首にリングが付いているのを確認。フラッグには「CZM」と文字が入っていた。

 「すごいものを見つけた」。二宮野鳥の会顧問の斎木邦弘さんに連絡すると、標識調査の専門部署がある山階鳥類研究所へ報告するのがよいと勧められた。シギ・チドリ類のフラッグ担当者から、オーストラリア北東部のクイーンズランド州で標識を付けて放された鳥であるとの返事が届いた。また、この個体は5月に千葉県の印旛沼で確認され、石川さんは2番目の発見者であることも後で分かった。

 標識鳥の発見は「野鳥観察のマイ・フィールドに足繁く通い続けた賜物」と斎木さん。「旅の経路や繁殖地、中継地、越冬地の解明につながる。鳥類の中でもシギ・チドリ類は世界的に減少が著しく、保護対策を考える手がかりにもなる」と話す。キアシシギはカムチャッカやアラスカなどで繁殖し、東南アジアやニューギニア、オーストラリアへ渡って越冬する。日本には春と秋に飛来。生態調査のためのフラッグは、色や形、付ける位置によって放鳥した国と地域が判別できるようになっている。

 石川さんは9月3日までの25日間中18日、標識鳥を観察した。「居心地が良かったのか、長く滞在してくれた。来年も来てくれたら嬉しい」。毎日、中村川で定時・定点観察を行い、二宮では稀な旅鳥のキリアイを9月に見つけたという。「これからはカモが楽しみ」と顔をほころばせた。

二宮野鳥の会メンバーの石川さん(右)と同会顧問の斎木さん
二宮野鳥の会メンバーの石川さん(右)と同会顧問の斎木さん

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