国の文化審議会は11月20日、中井町と秦野市にまたがる震生湖を国登録記念物に登録するよう、文部科学大臣に答申した。答申どおりに告示されると、登録記念物として同町では初めて、同市では2番目の登録となる。
震生湖はその名のとおり、大正12年(1923)の関東大震災によって誕生した湖。渋沢丘陵の一部が幅約250mにわたって地すべりを起こし、土砂が市木沢を堰き止めてできた。震災から100年近く経過した今も「崩落地」「堰止地」「湖面」を一体的に見られる。当時の地震で多数の崩壊地が発生したが、現存する堰き止め湖は珍しく、地形変化の規模の大きさを伝える貴重な資料となっている。
湖の面積は1万3000平方メートル、周囲1Km。平均水深4mで、最も深い場所は10m。散策や釣り、野鳥観察のスポットなどとして利用されている。
湖畔には、物理学者・寺田寅彦が詠んだ「山さけて 成しける池や 水すまし」の句碑が建つ。東京帝国大学地震研究所の所員だった寺田は1930年、震生湖の調査に2度訪れ、3つの俳句を詠んだ。その中から震生湖の成り立ちや地震の恐ろしさを表している句を選んで55年9月1日に石碑が建立された。
「関東大震災の震災遺構や貴重な地質遺産である」という観点から、中井町と秦野市の両教育委員会は震生湖の国登録記念物(動物、植物及び地質鉱物関係)の登録を目指し、今年1月に文科大臣へ意見具申を行った。登録面積は、中井町分が11504平方メートル、秦野市分が21034・71平方メートル。
今回の答申では県内から、登録有形文化財(建造物)に旧藤澤カントリー倶楽部クラブハウス(藤沢市)や龍口寺妙見堂(同)など、指定名勝に神仙郷(箱根町)も答申された。
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