西湘バイパス西湘二宮IC付近の道路脇に、歩行者や自転車などの立ち入り禁止を知らせる看板が設置されている。きっかけは、散歩中に誤ってバイパスに入ってしまったという認知症の人からの相談。相談を受けた二宮町の職員と道路を管理する国土交通省横浜国道事務所が安全対策へ動いてできた。
「ここから先 西湘バイパス 入らないで!」。国道1号線二宮交差点からバイパスへ向かう道路の右側。大人の腰より低い位置に横長の看板が掛かっている。歩行者や自転車の通行を遮るような恰好だ。左側の箱根・小田原方面進入口の路面には、ピクトグラム(絵文字)と平仮名でカラーシートが施してある。「はいっちゃだめ」と書かれた看板もある。
立ち入りを防止するためのこれらの安全対策は、認知症を患う人とその家族が昨年、二宮町地域包括支援センターへ相談を持ちかけたことに始まる。当事者が散歩しているうちに誤って西湘バイパスへ進入したことが3度あり、歩いているところを知り合いが見つけるなどして、いずれも事なきを得たという。
二宮町職員が橋渡し
なぜ入ってしまったのだろうか。同包括支援センターの認知症地域支援推進員・三枝美和子さんは、本人から話を聞きながら一緒に現地を歩いた。すると、足元を見て歩くので高い位置にある看板に気づきにくいことや、認知症の人にとって自動車専用道路の標識だけで立ち入り禁止の道路と理解するのが難しいことなどが分かった。
三枝さんは二宮IC以東を管理する横浜国道事務所へ連絡。昨冬、現場確認に来た同事務所職員に同行し、相談者がバイパスに入ってしまった経緯を説明した。事務所も対策に乗り出し、看板6カ所と路面シート4カ所を今年3月に設けた。
「認知症だから外出しない、外出させないというのではなく、認知症になっても本人と周りの人たちが安心して暮らせる地域を築いていくことが必要」と三枝さん。「日常生活で心配なことがあれば、相談してほしい」と呼びかける。
厚生労働省によると、認知症高齢者は2025年に約5人に1人(約700万人)になると推計されている。認知症の人と家族らを支える取り組みとして二宮町では、集いの場「にのにんカフェ」や認知症サポーター養成講座を開催。認知症初期集中支援チームによる医療・介護へつなぐ支援のほか、行方不明者を早期発見するためのネットワークの構築なども行っている。
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