大磯町虫窪の町有林で、9月から間伐や倒木の撤去などの整備活動が始まった。里山の再生に取り組んでいるのは、地元の林業グループ「薪屋大磯」(坂本桂太朗代表)。町が3年前から実施している林業研修に参加したメンバーが集い、担い手がいなくなり荒れた山の再生を図るとともに、切り出した木材を薪や木工品に加工して販売している。
町有林の整備は、町の公園・緑地里親(アダプト)制度を活用したもの。町が管理する公園や緑地などを町民が「里親」となって美化清掃や樹木の管理などを行う制度で、活動で使用する道具や助成金などの支援を受けることもできる。
薪屋大磯では9月4日から、この山林の整備活動を開始。枯れ木の除伐や倒木の撤去、間伐、作業道の延伸などの作業を月2回程度行っていくことで里山の再生を促し、「きちんと手を入れれば、荒れた山も変わるという里山のモデル林にしたい。子どもたちの木育の場にも活用していければ」と目標を語る。
この日は、幹が途中で折れて枯れてしまっている高さ10m近くあるスギを「台風などが来た時に倒木の可能性がある」と、チェーンソーなどを使って伐採した。切り出した木は原木市場では数千円にしかならない上に運搬や加工の手間がかかるため通常なら放置されることが多いが、薪屋大磯では「木の太い部分は丸太椅子やベンチに、細い部分はスウェディッシュトーチや薪にできる」と活用を図る。加工品は大磯市(いち)やインターネットなどを通じて販売し、今後の活動資金に充てていく。
人と自然 共生の場
薪屋大磯は、今年1月に発足。メンバーは20代から70代まで12人おり、会社員や自営業者、学生もいる。本業があるため活動は週末に限られるが、町内外の山主などから依頼を受けて除伐作業を行っているほか、メンバーで林業の勉強会を開くなど熱心に活動している。坂本代表は「里山は人と自然が共生できる場所。人の手が入らなくなったことで荒廃し自然災害などにもつながっている。生業として林業が成り立つ土地ではないが、山を整備することで住民と里山を再び近づけるお手伝いをして、次世代に引き継いでいきたい」と思いを語った。
薪屋大磯が加工したスウェディッシュトーチは、今年5月から大磯町のふるさと納税の返礼品にもなっている。
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