大磯港「みなとオアシス」エリアの賑わいを生むことを目的とした「恋するなぎさ灯台プロジェクト」の一環として、昨年11月から新モニュメント「結蛸」が設置されている。設置場所は、大磯に海水浴場を開設した松本順の謝恩碑西側。
モニュメントをデザイン、制作したのは東京藝術大学3年生の佐々木陸さん(22)=人物風土記で紹介。2023年11月にフジテレビで放送された番組『藝大よ、地球を救え。』に参加し、大磯町と連携してモニュメント制作に挑んだ。
モチーフとなっているタコは、大磯の漁師・蛸江之丞が海中から光を放つ「タコ」を見つけて船に引き上げると、千手観音像に姿を変え、引き上げられた場所が「照ヶ崎」と呼ばれるようになったという伝説に由来している。
佐々木さんは、iPadでスケッチを重ねながら、タコとハートを掛け合わせたデザインを考案。「引き算の発想で、ハートだけど少しわかりづらい、ひねった形にしてみた」と話す。くっついたら離れないタコの吸盤から連想し、「恋人や家族との『愛』を結ぶ」「友人やペットとの『絆』を改めて結ぶ」などの意味も込められている。
制作期間1カ月という過密な日程の中進んだモニュメントづくり。佐々木さんは、土台となっている真鶴産の本小松石が加工できる場所を求めて同大取手キャンパス(茨城県)と大磯町を往復する日々だったと振り返る。
タコの足の部分は、船体などにも使われる繊維強化プラスチック(FRP)を使用し、大磯港の風にさらされても大丈夫なよう、丈夫な素材で作り上げた。「何か一つでも間違えたりうまくいかなければ間に合わなかった。そこにあるだけで奇跡みたい。海の近くで塗装の劣化など心配な面はあるけれど、長く馴染んでもらえればうれしい」と佐々木さん。
モニュメントにはタコの吸盤をイメージした木札「願イフダ」を結ぶことができる。「願イフダ」は大磯町内の間伐材を使用し、毎年1月に開催される「大磯の左義長」でお焚き上げされる。1枚500円。大磯駅前観光案内所で販売。
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