二宮町は5月29日、神奈川県の派遣要請に伴い、能登半島地震の被災地に赴いた職員による防災研修を全職員向けに実施した。避難所運営支援のほか、支援物資の管理業務、住家の被害認定調査業務、罹災証明書発行業務を担った4人が登壇し、現地で撮影した写真などと共に、被災地で得た教訓を役場職員と共有した。
防災研修で発表した森一華さん(26)=防災安全課=は、2月16日〜23日の約1週間、石川県羽咋郡志賀町の稗造防災センターで避難所運営にあたった。
派遣の打診を受けたときは総務課に配属されていたが、「避難所運営に女性視点が大切なことは知っていました。二宮で災害があったときに避難所を運営する配備職員だったこともあり、経験してみようと参加を決めた」と話す。
同センターの避難者は最大70人ほど。避難者の人数や体調の確認、要望書の受け取りなどにあたった。
「できるだけ日常会話を心掛けた。近くで見かけた野生のコウノトリの話が盛り上がりました」と森さん。避難者から震災について話してくれたときは、傾聴に徹したという。
1週間という短い期間で派遣職員の入れ替えがある中、重要だと話すのは現地のことをよく知る「キーパーソン」の存在だ。森さんが派遣された避難所では、志賀町議会議員の男性が、金沢の宿泊所に派遣職員が帰るため不在となる夜間の人数把握や声掛けを担い、悩み相談等も積極的に行っていたという。「とても心強かった。避難者と職員の橋渡し役を買って出てくれた」と話す。
避難所にいたのは、もともと顔なじみでコミュニティーができている、高齢者がほとんど。感染症対策やプライバシー確保の観点から、衝立の設置を行おうとすると、「お互いの顔が見られなくなってしまうから衝立はやだ」という声が。「プライバシーへの配慮は求められる部分だと思っていたので少し驚いた」。地域やコミュニティーによって要望は異なるためマニュアル化の難しさを感じたという。
支援物資として届いた大人用おむつを、人通りのある廊下に置いていたことについて「もっと見えないところに配置し、持っていきやすいよう、配慮できたらよかった」と振り返る。排泄物を処分する袋を、中身が見えないよう黒色にすることや、仮設トイレのちょっとした段差など、避難者の視点に立った時に、配慮が必要だと気づくことが多かったようだ。森さんは「高齢者や子育て中の人、障害がある人も安心して過ごせるよう避難所運営の前提を考える必要がある。4月から防災課に配属されたので生かしたい」と話していた。
村田邦子町長は、職員たちの報告について「一人一人、今回の報告を自分事と捉えて、今後の業務に生かしてほしい」と講評。被災家屋の認定作業にアプリが使用されていたという報告などを踏まえ、「災害時に活用できるデジタル化についても検討していきたい」と話していた。
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