小田原市では2015年度の新年度新規事業に、野良猫の去勢・不妊手術費補助金を盛り込んだ。
「野良猫が増えすぎて困っている」と動物愛護団体『おだわらねこ』(入内嶋(いりうちじま)学代表)から「野良猫の去勢・避妊手術費用の補助金についての要望書」の陳情を受けたため。
個人で捨て猫の保護や里親探し、自費で野良猫の去勢・避妊手術を行っていた入内嶋さんが、年間200匹もの猫を持ち込まれ対応に苦慮し市に相談。しかし解決策が提示されず14年4月、署名を募りはじめた。
9カ月で市内外からとインターネット署名、計1万6168人分を集め、市に陳情とともに提出。昨年12月の市議会定例会で採択され、予算案に盛り込まれた。予算案が議会で通れば実施となる。入内嶋さんは「陳情内容は程遠いが、大きな一歩を踏み出せたのも皆様のおかげ。今後も『地域猫との共生』を目指し活動していく」と意欲を話した。
野良猫飼育の手術に補助
補助金は市内で保護した野良猫を飼い猫として飼養する場合、去勢・不妊手術費用の一部を雄2000円、雌3000円の上限を設けて補助する。同一年度1人につき1頭。事業予算は雄40頭、雌40頭分で計20万円を計上している。
新規事業のため、(公社)県獣医師会西湘支部関係者などに周知を計った上で、今年9月から補助金の申請を受付け、16年3月末を実施期限とする。なお、16年度も継続していく予定だ。県内では他に9自治体、飼い猫には19自治体が補助金を実施している(14年度)。
猫の飼育に関しては、犬のように狂犬病予防法で登録を義務付けられているものがないため「何をもって野良猫とするか」が問題だ。市環境保護課担当者は「野良猫による苦情を減らし、少しでも不幸な命を減らすことができれば」と話す。
補助金に関する問合せは同課【電話】0465・33・1481。
減らせ不幸な命
県動物保護センターによると13年度、管内での飼い主からの猫の引取りは142匹(市内は9匹)、所有者不明の収容が492匹だった(同31匹)。そのうち196匹が譲渡されているが、441匹が殺処分されている(同31匹・収容中の死亡含む)。
しかし14年度は、譲渡数509匹、処分68匹と逆転している(同12匹・3月16日現在)。これは動物愛護法が改正され、13年度秋より施行、安楽死がなくなったため。センター登録ボランティアの保護猫シェルター『たんぽぽの里』(石丸雅代代表/相模原【URL】http://ameblo.jp/cat-hometown-tanpopo/)などが受け皿となり、センターに収容された猫を引き取っている。センター担当者は「今年度はたまたまボランティアさんが受け皿になってくれたが、上限もある。この先はどうなるのかまだわからない」と話す。石丸代表は「色々な人が支援してくれて今があるが大変な現状。餌をあげるならしっかり野良猫に責任を持って去勢を」と呼びかけている。
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