プラモ超える精密さ
作者は自動車道の料金所で働く真鶴町の兵藤知義さん(65)。8年ほど前から作り始めた。小学生の頃に戦記物の小説を読むうち、物語に登場する船に憧れたが、当時のラジコン船は高額で手が出なかった。50歳を過ぎたころ、会社からの帰宅途中に立ち寄った模型店でふとプラモデルを購入。趣味が高じてブログで作品を紹介するうちに、同じ趣味の友人もできた。ある日、そのうちの一人(焼津市)に招かれ、紙の模型作りを教えてもらうことに。まずは設計図に沿って発泡スチロールを削り上げ、その原型の上に短冊状の厚紙やケント紙を丹念に貼り重ね、接着剤で固める。鋼板らしさを出すためマイナスドライバーを紙に押し付けて模様を付け、部品も一つずつ紙と接着剤でくみ上げる。老眼鏡をかけ、細かさに挑む日々が始まった。
その後友人は病で他界し、独特の手法を受け継ぐ形になった。設計図は絶版になった書籍を参考にしているが、主に太平洋戦争で沈没した船をテーマに製作しているため資料が乏しい。5月12・13日に静岡で開催されたホビーショーに展示したのは駆逐艦「濱風」。1945年、戦艦大和とともに戦い撃沈された一隻だ。鎮魂の思いも込め、2年かけて完成させた。
芦ノ湖で航行も
細かさだけに驚くなかれ。これらの船は、実際に水面に浮かび、スクリューを回して動くラジコンなのだ。「しっかり設計された船です。ディスプレイだけではありません」。定期的に芦ノ湖に運んでは浮かべているが、沈んだことは一度もないという。
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