小田原市が東富水小学校(鍋倉かつみ校長)で進めてきた内装木質化工事が完了し、10月9日に報道関係者向けの内覧会が開催された。これを皮切りに、今後2年間で2つの市立小学校で同様の整備を行う方針だ。
地域産木材の利用拡大に向け、公共施設での積極的な活用を進める市の「学校木の空間づくりモデル事業」の一環。昨年12月に市立小25校を対象に意向を調査し、木質化を希望する14校から学校規模などを基準として東富水小が選定された。
木質化とは、校舎の内装や机などの備品を地域産材で改修するというもの。工事の基本方針は児童数減少により生じた空き教室の有効活用や、「ショールーム」的な役割を果たすべく多様な改修メニューを実施することなどで、事業費は約2900万円。
設計・施工監修を担った(株)現代計画研究所(東京都)によると、重視したポイントの1つが学校と地域を結ぶ昇降口。憩いの空間を目指して木製ベンチを設置したほか、下駄箱やアルミサッシには化粧板や木枠を取り付けて温かみを持たせた。汚れの目立った天井も塗装され、夏休み明けに登校した児童は驚きの表情を見せたという。
教育の機会に期待
高校でも地域産材活用
少量の木材で学校全体の環境改善に一役買ったのが木質パネルだ。畳一枚ほどのサイズで、廊下の柱部分を覆い隠す形で設置された。一部は掲示板として活用できるようデザインされている。
今回の事業は、将来的な公共施設の木質化を見据え、市内の林業や木製品製造業などとの協力体制構築も目的。その観点から、現場外で製作が可能なパネルは施工期間短縮にもつながり、今後に生かせる有効な手段であることもわかった。
使用された木材は約13 ㎥で、その約6割が小田原産のスギやヒノキ。教育の機会として、あえて虫に食われた跡も残した=写真中。中畑幹雄教頭は、「3〜4年生で地域について学習するが、小田原産木材も実感をもって学べると思う」と完成を喜んだ。
木で「シャレた空間」
小田原産木材の活用は大井高校でも進む。5年前の木製下駄箱完成を機に、昨年は昇降口脇に木製の机やベンチを設置した憩いのスペース「ふれあいテラス」が完成。9月末には空き教室を活用した「ふれあいラウンジ」の工事が完了した。
廊下に面した窓枠や壁一面が木質化され、テーブル17台の天板も無垢材に交換。昼休みのパン販売や放課後に交流の場として使われており、木の香り漂う空間に生徒からは「シャレてる」と好評だ。高橋秀樹副校長も、「下駄箱、テラス、ラウンジと一体感があり、木の柔らかみを感じられる」と感想を語る。
工事を手掛けた小田原地区木材業協同組合の下田晃太郎さんは、「家庭と学校の間にあり、くつろげるスペースになるよう意識した。地元の木に親しんでもらう機会にもなれば」と期待していた。
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