報徳二宮神社が手掛ける小田原市南町の新施設「箱根口ガレージ 報徳広場」が完成した。3月12日の開業を前に10日、関係者らを招きオープニングセレモニーが行われた。周辺地域の観光活性化と3世代が交流する地域コミュニティづくりを目指す。
国道1号線の「箱根口」付近に位置する同施設は、倉庫を改装した平屋建て。事業主体は同神社が運営するまちづくり会社の報徳仕法(株)で、日中はグリル料理やスイーツを提供するカフェや花店として営業する。夜間は6月を目途に、子ども食堂やシニア食堂の要素を盛り込んだ地域食堂の運営を開始する。また、近隣商店の品物を購入して地域に配送するサービスやフードデリバリー、ランドリー、料理教室や児童を対象にした経済教室などを順次開始する予定。南町の新たな観光拠点となることで、漁港やかまぼこ通りまでの回遊を促すとともに、経済活動で得た利益を3世代が交流するコミュニティ形成と地域課題の解決のために還元していく。
この事業は横浜銀行と地域経済活性化支援機構の協力のもと、昨年3月に新規性・モデル性の極めて高い重要支援事業として総務省の地域経済循環創造事業交付金に採択された。オープニングセレモニーで草山明久宮司は、支援に対する謝辞を述べるとともに「小田原にしかない魅力を多くの人に伝え、報徳の教えをもって余剰を地域に推譲する施設運営をしていきたい」とあいさつした。
小田原ゆかりの路面電車も
広場には、かつて小田原駅―板橋駅間を走っていた路面電車の「モハ202号」が設置されている。この車両は、クラウドファンディングなどで寄せられた支援金を活用し、譲渡先の長崎で引退した車両を小田原に里帰りさせたもの。
車両の里帰りに携わった(一社)小田原路面電車協会の小室刀時朗代表理事は、「路面電車の活用を全国に発信することで、観光の周知につながれば」と話した。
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