完全外洋養殖で育てた真鶴町の岩ガキ「鶴宝(かくほう)」が5月13日、初出荷を迎えた。新ブランドの誕生に関係者は喜びと同時に、町の観光活性化に期待を寄せた。
13日、滅菌処理や仕分けなどを行う滅菌海水対応型集出荷施設「岩ガキBASE」前でセレモニーが行われ、松本一彦真鶴町長や牡蠣の養殖などを行なう「(株)岩ガキBASE」の皆木孝行代表=人物風土記で紹介=などが初出荷を祝った。松本町長は「今後は全国、世界中に広がっていけば」と期待し、皆木代表は「今以上に味と質の良い岩ガキにしたい。出荷量も増やせるように努力していく」と決意を新たにした。岩ガキは、飲食店の真鶴魚座に運ばれ、同日から始まった町民試食会に出された。試食会に訪れた50代の女性は「美味しかった。全国から注目されると良いですね」と笑顔を見せた。
町の新ブランドに
岩ガキの養殖は、真鶴町が新たな名産品にしようとカキの産地でもある島根県海士町から技術支援を受け、2015年度から試験的に始めた。真鶴の海は、すぐに深くなる「どん深」という地形と、富士山からの地下水が真鶴の林を通り真鶴湾に流れ出ることから、多くのプランクトンが集まりカキの生育に適していることが取り組みの後押しとなった。
2018年には本格出荷を目指し、地元漁師や町関係者らで作る「真鶴町岩沖岩牡蠣養殖事業推進協議会」を設立。毎年約12万個の養殖を行なってきた。岩ガキはロープで海中に垂下されており、漁師が定期的に引き上げ、フジツボなどを削り落とすなど世話を続けてきた。今年3月には地元漁師で作る民間会社(株)岩ガキBASEを設立し、本格出荷に向けて準備を進めていた。今年は町内を中心に約5万個を出荷する計画で、今後は10万個の出荷を目指す。20日から町内の取扱店で販売が始まり、真鶴魚座で生岩ガキ1個税込み1100円で食べられる。
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