第68回NHK杯全国高校放送コンテスト神奈川県大会がこのほど行われ、県立小田原高校、県立小田原東高校、県立西湘高校が全国大会への切符を手にした。全国大会は7月10日(土)から29日(木)にかけて、データ審査により行われる。
小田原2部門
小田原高校放送部は「ラジオドキュメント」と「テレビドキュメント」の2部門で全国出場を果たした。
ラジオドキュメント部門では、コロナ禍で公演の中止を余儀なくされた平塚市のアマチュア劇団を取材。同校出身で劇団を主宰する俳優の合田雅吏さんと劇団員合わせて11人の生の声を取り上げ、「劇団と地域のかかわり」「オンライン配信への挑戦」の2つを柱に番組を制作。7分間、音声のみで表現するため、制作リーダーを務めた長竹葵さん(2年)は「聞き手が飽きないように、音楽を入れたり構成にこだわった」と振り返る。
テレビドキュメント部門は地元飲食店による「テイクアウト大作戦」に着目し、コロナ禍で打撃を受ける中でも人と人とが協力し合う姿を8分間の番組に収めた。また、デジタルを駆使して非対面を進める大手チェーンと、対面での接客にこだわる地元飲食店の対比も描かれ、制作リーダーの荒井陽斗さん(2年)は「約半年間取材する中で具体的なことを知ることができた。その分、どのように番組を締めくくるかを最後まで悩んだ」と明かす。
どの部門の作品も、部員13人全員で協力し合い、何度も何度も作り直したという。今回、次点で全国を逃した創作ラジオドラマ部門の制作リーダー・橋本怜さん(3年)は「昨年はコロナの影響で大会が中止になり悔しい思いをしたけれど、3年間幸せなときを過ごせました。進学しても続けたい」と、笑顔で語った。また、創作テレビドラマ部門の制作リーダー・溝口なぎささん(2年)は、「さまざまなことを経験して、他の部門にも挑戦したい」と意気込みを話した。
顧問の松本文夫教諭は「自信と実績を持って、プロを目指して将来につなげてもらえたら」と激励した。
小田原東アナウンス部門
「諦めなくて良かった」。小田原東高校の放送部部長・青木春菜さん(2年)は、よく通る声で心の内を語った。同コンテストのアナウンス部門に初出場し、2位を獲得。全国大会進出を決めた。
小学6年から中学3年までミュージカルで演じることに夢中になったという青木さん。培った発声の美しさを生かし、高校1年の冬、初参加の県高校総合文化祭のアナウンス部門で優秀賞に輝き、注目を集めた。
ただ今年3月、県内の高校生による大会では「とても低い成績だった。『どうしよう』と悩み、落ち込んだ」と青木さん。「練習を見直し、普段の発声や活舌を改善するよう意識した」
今大会では、原稿の作成に向け、手話通訳士を目指して学び続ける同校の女性教諭を取材した。大学院に通い、手話の研究もしている同教諭について、青木さんは「夢に向かって挑戦する姿勢が素晴らしい」と、敬意を込めて原稿をまとめた。「先生の信念など、大事なことを伝えるときはゆっくり話す工夫をして録音した。全国大会でも上位を目指したい」
西湘朗読部門
西湘高校演劇部の西野匠海さん(2年)は、朗読部門で5位となり、初の全国大会出場を決めた。中学から演劇を続けてきた西野さんは、演劇部のある同校に入学。「放送もやってみよう」と昨年初めて同コンテストのアナウンス部門に挑戦した。大会の雰囲気を体感し「セリフがある題材の方が演劇経験を生かせるかもしれない」と今年は朗読部門に転向した。
県大会では『日日是好日』(作者・森下典子)を選び、雨の日に紫陽花をかたどった和菓子を味わい、お茶を点て飲むという一場面を朗読した。「ひんやり」や「もっちり」など擬音が多く登場する作品。特に難しかったのはお茶を点てる箇所で動画などを見てイメージを膨らませて練習したという。気持ちを込めつつも自然なセリフの朗読が高く評価された。
西野さんは全国大会でも同じ題材を朗読。「擬音一つとってもさまざまな解釈があり、とても勉強になった。県大会で指摘された箇所をブラッシュアップして全国大会の録音に臨んだ。後は結果を待つのみ」と笑顔で語った。
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