「なりたくない病気として断トツの1位に挙げられているのが認知症」。そう語るのは、「認知症をにんちしよう会」の武井和夫会長。神経内科を専門とする医師で、2015年、認知症の人や家族が安心して暮らせるまちづくりを目指し、県西1市3町の医療、介護などの専門家らと会を設立した。
同会によると、コロナ禍が続く現在、認知症患者を取り巻く状況も厳しさを増している。認知機能が低下すると、マスクの着用や手洗いなどの感染予防行動が困難になる人も少なくないという。また専門家らは、感染対策としてデイサービスへの通所を控えるようになった患者の中には、人との交流機会が減ったためか、認知症の症状が悪化する人もいると指摘する。
小田原市高齢介護課によると、市内全体にみる高齢者(65歳以上)の割合は昨年5月に初めて3割を超え、今年5月末現在30・26%(5万7206人)に上昇。高齢者率増に比例し、認知症により生活に支障をきたしているとされる患者数も増加傾向にあり、最新統計の19年4月1日付で5886人に上る。
ただ武井会長は「全国には、元気に講演活動に励んだり、音楽やスポーツを楽しんだりする患者もいる。決して『発症したら終わり』などという怖い病気なのではなく、何より大切なのは家族や周囲の人たちの理解。前向きに病気と付き合ってほしい」と言葉に熱を込める。
動画で理解促進を
啓発の一環として、同会は9月21日の「世界アルツハイマーデー」を前に「秋のイベント2021」を12日に開催する。発足以後、コロナ禍で中止となった昨年を除いて毎年、講話や物販など、来場形式の催しを実施してきたが今年は一変。さまざまな動画を作成して、認知症の基本情報などを伝える配信形式とし、当日からYouTube上の同会のチャンネルで視聴できるようにする。
また市内のメンタルクリニックの医師・小林博子さんが認知症をテーマに出版した絵本『とかげのアンソニー』の朗読動画も公開。日本語をはじめ、英語、スペイン語、ベトナム語の4カ国語で配信する。
さらに当日限定での電話相談(【電話】0465・47・0833、午前10時〜午後4時)も実施。認知症への理解促進につなげるとしている。前日までの問い合わせは同課【電話】0465・33・1864。
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