「梅華展」の主催者・小田原文化芸術協会の代表を務める 杉崎 宗雲さん(本名:杉崎宗一) 小田原市蓮正寺在住 72歳
「表現者」の道を追求
○…県西2市8町に関わるアーティストが所属する小田原文化芸術協会。そのメイン事業「小田原城アートNOW」を2月、新たに『梅華展』として開催する。「時代的に発表会をやっているだけではダメ」と、「文化振興」を新たなテーマに設定。小田原三の丸ホールを会場に、作品発表に加え、子どもから高齢者まで参加できる制作体験など「観光客や市民を巻き込む」試みだ。
○…生まれは小田原城のすぐ下。城内小学校(当時)は目と鼻の先で「朝、チャイムが鳴り出してから家を出ても間に合った」と笑う。華道家の父のもと「いわゆる門前の小僧だよ」と自然にいけばなの道に。高校時代は野球部の練習を終え帰宅後に花と向きあう日々。材料は、いけばな教室で残ったもの。用意されたものでなく、あるものからアレンジする感性が養われた。ブリキでつくったバラ、流木とサボテン、ボウリングの球に木を刺す…若い頃の奔放な作品を振り返りながら「何を表現するのか、気づきも大切」という。
○…父が60代後半で小田原華道協会会長になった時の「あと10年早く、なれていれば」というつぶやきが胸に刻まれている。若さが持つ勢いや柔軟性を意識しながら、華道の枠を超え、まちづくり事業や市の文化振興にも携わってきた。60代前半で同じ会長職に就くと「革新」を掲げた。今のいけばなについては「型をそれぞれの『流』として教え、大事な風興(趣・風情)を教えていないのでは」と憂う。
○…「表現者として、伝えたい対象者は誰か」を自問自答する中、SNSや動画投稿などにも積極的だ。梅華展は、すでに来年の構想もある。「そろそろ若い人につなげなければ」と言いながらも創造のエネルギーは枯れることを知らない。
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