小田原市根府川の旧片浦支所が民間提案制度を活用し、コワーキングやレンタルオフィス、ワーケーション宿泊施設として生まれ変わる。運営はオフィスの総合コンサルティングを展開する(株)文祥堂(東京都中央区)で、現在、5月のオープンに向け改修工事が進められている。同制度による事業化は初。
旧片浦支所は1953年に片浦村役場として建設された木造2階建て。解体が予定されていたが、地域から建物の存続を求める声が数多く寄せられたことを受け、市は「小田原の魅力を生かしたワークプレイスに再生」することを目指し、21年3月に民間提案制度を活用して事業者の募集を行った。
同制度は市と民間が協議を重ねて事業を作り上げる取り組み。市は応募があった5者の中から文祥堂と(株)空間編集舎(東京都渋谷区)の共同事業を採用し、12月に土地の賃貸借契約及び建物の売買契約を締結した。建物価格は4万4000円だが、文祥堂によると補強や内装など改修工事に数千万円かかる見通し。
レトロな趣を生かす
改修工事は2月から始まり、現在は小田原城天守閣の改修なども手掛けた地元の宮大工・芹澤毅さんが小田原産木材を取り入れ建物の補強を行っている。芹澤さんは「使える物は使い、歴史ある建物の趣を生かしたい」と話している。文祥堂の事業担当者は「素晴らしいロケーションとレトロな建物を通じて、地域の空気感を感じてもらえる施設にしていくと共に、ニューノーマルな働き方を発信していきたい」と期待を寄せている。
オープンに向け文祥堂では施設を活用した体験や研修などのプログラム開発やカフェ運営、アート展示や販売を行う協業パートナーを募集している。すでに10件ほどの相談があり、担当者は「片浦地域を一緒に盛り上げたい」と話している。
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