自然の宝庫・真鶴町。古くからリゾート地として多くの文化人に愛されてきた美観を残す一方、ひとたび海岸に目を向けると、後を絶たない不法投棄の現実が見えてくる。
岩場や消波ブロックの隙間などに、ペットボトルやシャンプーの空き容器、使用済みの注射器まで。これらは全て6月10日、JR真鶴駅(赤沢聡駅長)の職員らが町内の琴ヶ浜海岸で実施したビーチクリーン活動で回収したものだ。「美しい海岸を取り戻したい」と軍手をはめ、午前9時30分から清掃に奮闘して1時間半。不法投棄された数々のごみの中には、工事用とみられる、変色して異臭を放つ大型の袋も見つかり、引き揚げた。駅員の額やマスクには汗がにじんでいた。
地域貢献のため、同駅職員たちは、20年9月から独自に町内の海岸清掃を続けている。年3、4回継続する中、同駅の林寿夫副長によると、これまで、昭和のものとみられる清涼飲料水の空きビンや、閉店した店舗の古い看板なども回収。観光客などによる不法投棄が、長年にわたり常態化している実態がうかがい知れたという。「スコップで掘ると、ごみと土が地層のようになっている箇所も見つかって」言葉を失った。
前年度比25トン増
(公財)かながわ海岸美化財団によると、2021年度に湯河原海岸から横須賀市走水海岸まで約150Kmにわたる清掃活動で回収し、同財団が処理したごみの量は、台風による流木も含め計1838トンに上った。うち最多の藤沢(574・91トン)、それに次ぐ鎌倉(314・63トン)ほどではないが、小田原、真鶴、湯河原の県西3市町の総量は105・281トンに及ぶ。集計したところ、前年度比で湯河原は327kg、小田原は14・26トン、真鶴は実に25・94トン増加していたことが分かった。
同財団の担当者は「県内では特に4月から11月にかけ、バーベキューの後のごみが酷い。楽しんだ後は持ち帰ってほしい」と呼び掛けている。
海辺への来訪者に、環境意識の改善が切望されている。海岸は「天然のごみ箱」ではないのだ、と。
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