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夢に向かって初の収穫 耕作放棄地で小田原産ワイン

コミュニティ社会

公開:2022年8月27日

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収穫したブドウを手にする加藤さん(左)
収穫したブドウを手にする加藤さん(左)

 小田原市石橋の標高200mの丘陵地にある耕作放棄地で、2020年12月から始まったワインブドウ栽培の取り組み「小田原ワインプロジェクト」。初の収穫作業が8月11日に行われ、約60人が参加した。

 中心となって活動しているのは、前小田原市長の加藤憲一さん(58)。市長在任中から離農への危機感を抱き、退任時には「農の再生」に取り掛かりたいと語っていた。ブドウ畑の構想は「ワインは好きな人が多く、小田原で栽培の歴史がないので夢がある」と考えたから。30年以上放置され、草木が生い茂っていた畑だが、開墾を進めると眼下に海を望む絶景に。6人ほどで始めたプロジェクトは仲間が仲間を呼び、昨年3月の植樹には約100人が集まった。日ごろの手入れには常時3〜10人ほどが関わり、農薬や除草剤を使わずに栽培している。

 ブドウはメイヴという品種で、約2000平方メートルに700本が並ぶ。今年は半分ほどの木に実り、加藤さんは「思いのほか成長が早い。2年目でこんなに収穫できて驚いている」と、採れたてのブドウをうれしそうに眺めた。毎日手塩にかけて育ててきた鳥越健さん(76)も「まるで孫のよう。本当に皆さんの力のお陰」と目尻を下げた。

 選果作業では、2時間以上かけて傷んだ粒や未成熟の粒を一つずつ取り除いた。小田原市の佐藤萌々花さん(20)は、「コロナ禍で大学でも同級生と親しくなる機会が少なかったけれど、作業を通して名前も知らない人と話せて楽しい」と笑顔に。加藤さんは「絆が広がり、人と人とのつながりができたのも成果。将来的には小田原にワイナリーを開設し、新たな特産品にできたら」と話す。

 収穫されたブドウ約70kgは翌日、長野県の醸造所に運ばれ、1カ月ほどで試作品ができる予定だ。参加者たちは「早く小田原産のワインが飲みたい」と声を弾ませていた。

一房ずつ丁寧に収穫する参加者
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