小田原市在住の鈴木陽麿さん(平塚中等教育学校2年)が市内の久野一本松遺跡で全国的にも珍しい土器片「両面顔面把手(りょうめんがんめんとって)」を採集し、『神奈川考古』に論文を発表した。土器は、小田原市郷土文化館で開催中の「最新出土品展2022」で展示されている。
鈴木さんは、小学2年の時に担任の教師から土器を拾える場所を教えてもらったことをきっかけに、縄文土器に興味を持ち、市内や近隣の遺跡で土器を採集するようになった。1万年以上前の縄文時代早期の土器を市内で発見し、5年生の時に市の学芸員・土屋健作さんと共著で論文を発表するなど、考古学界で注目を集めた。
今回採集した「両面顔面把手」は、遺跡巡りを続けている中で3年前に久野一本松遺跡で発見した。「両面に顔がはっきりわかり、これまで見つけた土器片と違う」と土屋さんに報告。両面顔面把手について書かれた論文などを全国から集め、土屋さんと共に調査を進めてきたという。「縄文時代中期前半の深鉢形土器の口縁部に付けられた、顔面表現の初源期の様相を考える上での貴重な資料」(土屋さん)とわかり、今年5月には研究成果をまとめ、土屋さんと共著で『神奈川考古第58号』で発表した。
現物を一般に公開するのは今回が初。鈴木さんは「土器の表情をぜひ見てほしい」と話している。出土展は12月11日(日)まで開催する予定。
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