発足4年目の湯河原町川堀地区のイノシシ被害を防止する「川堀鳥獣被害対策部会」(二見紀会長・63)が活躍中だ。
同町では、サルやイノシシによる農作物の被害が多く、檻の設置や追い払い隊員の巡回などを実施。2018年頃はイノシシだけで500万円以上の被害があったという。
当時、山に近い川堀地区は農家も多く、イノシシによる農作物の被害が多発し、民家の庭先にもイノシシが闊歩する状況に。「町も対策を練ってくれているが、このままでは安心して暮らせない」と、自分たちで対策することを決断。会長の二見さんは当時、農協職員で小田原市曽我エリアで鳥獣被害対策部会を立ち上げた経験を持っており、農家たちが声をかけた。二見会長は「農家の方にはお世話になった、定年後は恩返しをしたい」と即答したという。
狩猟免許の取得から
地区内の農家が中心となり7人が集まり、19年の7月にイノシシを捕獲するための狩猟免許(わな猟)を全員で取得した。10月に「川堀鳥獣被害対策部会」を立ち上げた。
駆除の方法は、被害発生を聞きつけると現地を確認し、周辺のけもの道にくくり罠を50個ほどしかけ、その後は毎朝イノシシがかかるのを待つ持久戦。メンバーの小澤輝男さん(81)は「初めて罠にかかったのを見た時は怖くて」と振り返る。メンバーは徐々にコツを掴み、発足から約半年で20頭ものイノシシの捕獲に成功。捕獲後も自分らで処理した肉を鍋の具材として楽しむことも。その活躍ぶりから「猪捕獲7人衆」として地域でも知られる存在に。
20年度は20頭、21年度は10頭と捕獲数は減り、22年度はブタ熱の影響もあり3頭に。今年度はまだ0頭だ。イノシシを捕獲すると成獣1頭12000円の報奨金が支給されるが「目的は地域の安心。数が減った方がいい」と二見会長。「イノシシが庭に現れなくなりほっとしている」と住民から感謝の声も届いているという。
若手メンバーも参加
昨年、3人が新規メンバーとして加入した。中でも山本可奈子さん(30)は初の女性メンバー。「農地を荒らされ、困っている時に助けてもらった。自分も勉強したい」と狩猟免許を取得し入会した。メンバーたちも「若い人が入ってくれると活気がでる」と歓迎。二見会長は「山はつながっている。他地域の団体とも力を合わせて守っていきたい」と力強く語った。
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