1923(大正12)年の関東大震災から100年の節目に小田原市が行う「関東大震災100年事業」。その関連事業として、小田原市立中央図書館で当時被災した大島環氏が記録した写真やメモを公開するパネル展「100年前の目撃者〜図書館の宝もの2023〜」が開催されている。9月3日(日)まで。
この記録は、陸軍大将の大島久直の七男で、カメラを趣味としていた環氏が残したもの。約200枚の写真を収めたアルバム2冊と主要写真を解説したメモ帳で、51年に市へ寄贈された。当時十字町(現在の南町)に居住していた環氏が撮影した写真に加え、実弟で軍人の卓氏が参謀本部に報告する任務で小田原を訪れた際、一般人が容易に立ち入ることができない小田原城内の御用邸、閑院宮別邸などで撮影されたものもある。これまで一部写真は市の刊行物で使用されていたが、メモ帳とその内容の展示は今回初めて。
期間中は写真35点とそのメモの内容をまとめたパネル22枚を展示。震災翌日の自宅をはじめ、箱根口、御用邸などを紹介している。「大西海子角」の様子について「こゝでも沢山人が中へふせられてしまったし、此となりでは圧死者も重傷者もあった。」などと書き記されていた。
またアルバムとメモ帳や、当時撮影された場所を地図内に記入した写真撮影位置図も作成して展示している。
展示を担当した同館の下重清さんは「日付が記されているものや、一般の人が入れない場所の記録は貴重」と話す。佐次安一館長は「写真だけでなく、撮影者がそのときに感じたことや事実が残されている。今の小田原と比べながら見て、感じていただければ」と来場を呼び掛けている。
受付時間は午前9時から午後5時まで、28日(月)は休館。
子どもの思いつづった作文も
また同館には企画展で公開中のもの以外にも震災に関して記された資料がある。その一つ『ありがとう城内小学校開校120年記念誌』には、関東大震災に関する文集に掲載された児童の作文が紹介されている。作文には「兄さんが、『家はもう焼けてしまったよ。お母さんと弟は、中島のお寺の竹やぶに行っているからねえさんとおいで。』といいました。竹やぶでお母さんの顔を見た時、泣きつきました。」(一部抜粋)などとつづられていた。
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