(株)籠淸の専務取締役として、本店再建100周年事業を担う 石黒 太郎さん 小田原市城山在住 51歳
伝統を進化させて守る
○…蒲鉾づくりをなりわいに小田原で創業し210年、関東大震災後の本店再建から100年を機とした改修事業を専務取締役として取り仕切る。テーマは「温故知新」。「再建当時の状態に戻しつつ『今』を取り入れた」という母屋は和モダンな佇まい。御幸の浜とひと続きをイメージした床、研ぎ出しのカウンターなど、随所に匠の技が協演する。「地域に根付いた中で節目を迎えられたことに感謝。気に入ってもらえる空間になれば」と思いを込める。
○…従業員220人を抱え、経営の意思決定にも携わる。原材料のグチにこだわり、板蒲鉾にはでんぷんを使わない昔ながらの製法を守る一方で「時代の変遷にも対応する力も必要」と100周年記念事業では、代々伝わるレシピをアレンジした新商品や日本酒の飲み方を提案する小田原の酒蔵とのコラボも企画。「伝統は進化させていくことで守られる」とチャレンジ精神を忘れない。
○…小田原で生まれ育ち、4人兄妹の長男。静岡の全寮制の中高に進学。ラグビー部では「すばしっこさ」を生かしスクラムハーフで活躍し、大学では副キャプテンも務めた。家業を継ぐため卒業後は築地市場で修行し、北海道、宮城、大阪の蒲鉾店で現場を学んだ。2001年に自社に戻り、「意見が通る風通しのよい職場」を目指し、ベテラン職人と若手を結ぶ調整役として奮闘。財務改善にも取り組み、「経営の難しさと面白さを体感中」と笑顔。
○…妻と2人の子ども。「仕事柄、クリスマスは全くなし」と家族と過ごす時間がない中で、思い出は週末のタグラグビー。息子たちが大学生になった今もコーチとして地元チームに残る。「地域の子どもたちとのふれあいに元気をもらう」と微笑んだ。
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