橘地域で市内初の公立認定こども園の整備を進めている小田原市が5月27日、下中幼稚園の園児を対象にワークショップを行った。園舎設計に子どもたちの声を取り入れることや、学びを促す狙いなどがある。
橘地域には保育所が無く、公立の下中・前羽両幼稚園も園児数が減少。前羽幼稚園は2022年度から休園している。また園舎はそれぞれ建築から45年以上経過しており、老朽化が進んでいた。
こうした現状を踏まえて地域へのヒアリングを重ね、市は22年に両園を統合して下中幼稚園の敷地に公立認定こども園を整備する「(仮称)橘地域認定こども園整備基本計画」を策定。「子どもの主体性や創造性などを育む質の高い幼児教育・保育の提供」などをコンセプトとし、整備を進めている。
今回、子どもたちの意見を可能な限り設計に反映させることと、新しい園舎に活用予定の小田原産木材に触れてもらおうと、ワークショップを実施。市によると、公立幼稚園や小学校などを新設する際に直接子どもの意見を聞くことは「市内で初めて」という。
お気に入りの場所園児が案内
ワークショップには4・5歳児9人が参加。前半は園舎の設計を担当している(株)環境デザイン研究所のメンバーと、小田原市職員らに園児がお気に入りの場所を紹介。かくれんぼ遊びで身をひそめる場所や好きな遊具、新幹線を見られるスポットなどを案内した。園児の声を聞いた同研究所の宇佐美洋平さんは、「かくれんぼへの熱量を感じると同時に、園児の落ち着ける場所を設ける大切さを改めて感じた。子どもたちの意見を大事にしていきたい」と話した。
後半は小田原市森林組合と小田原地区木材業協同組合が、間伐材の活用が森を守ることにつながることを伝える紙芝居を読み聞かせたほか、積み木などで遊ぶ時間を設けた。園児の一人は「いいにおいがする」と木材のボールを抱えて、笑顔をみせていた。
今年度は基本・実施設計と解体工事を行う予定で、26年度の開園を目指している。
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