小田原市仏教会の会長を務める 阿川 文叡(ぶんえい)さん 小田原市板橋在住 75歳
仏の教えで結束を
○…酒匂川以西の小田原市内98カ寺が加盟し、宗派の垣根を越えて花まつりや戦没者慰霊祭などの仏教行事を催す小田原市仏教会。副会長として8年務め、今年度初めて会長に選任された。「コロナも収まってきたなかでの選任。前松田宏道会長が培ってきたものを引き継いでいけたら」。控えめながらも力強く語る。
○…東京都八王子市出身で実家は浄土宗寺院。幼い頃から仏教が身近な存在だった。「跡取りではなかったが、自然とお経を覚えていった」。10歳で得度を受け仏門へ入る。大学では天台学を学び、天台宗寺院に在籍したことも。その後は都内の市役所職員などさまざまな経歴を辿る。つらい時もあったが、念仏は欠かさなかったという。「がんばれたのは仏様のおかげ。すてきな出会いや転機に恵まれた」と懐かしむ。
○…先代住職に頼まれ33歳で常光寺(市内板橋)に移り、2年後に30代目住職に就く。小田原はゆかりのない土地だったが「基盤づくりをしよう」と、自治会役員やPTA会長、毎朝の子ども会など精力的に活動した。そのかいもあり、地域で親しまれ頼りにされる存在に。「忙しい日々だったが楽しくやっていた」と、当時の苦労を振り返り大きく笑う。今年5月に住職を退き、長男に寺を任せた。「うまくやろうとせず、いろいろな経験をしながらやってくれれば」。見守る眼差しは穏やかだ。
○…教えが異なるさまざまな宗派の寺院が所属する仏教会。宗派を越え結束するためには、「共通する仏の教えがカギになる」と語る。「お釈迦さまの『皆の苦しみを除いて幸せにしたい』という優しさが仏教のはじまり。源流に戻り仏教会をまとめられれば」と熱意を語った。
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