小田原市は、所有する「清閑亭」(南町)の民間提案制度による利活用における民間事業者との契約等について、市監査委員が市長に勧告していた再調査や検証の結果を9月27日に報告した。
再調査は、外部専門員として選任した関東学院大学法学部准教授・宇都宮遼平氏と共に、市文化政策課から提出された資料の精査、現地調査、当時担当していた職員の聴取によって行われた。
再調査の結果、提案募集実施要領の特記事項で禁止していた厨房等の増築を事業者選定後に認めたことについて、「公募において明らかにされた契約条件を恣意的に変更し、選定された本件事業者を著しく有利に取り扱い、公募という手続方式を採用した趣旨を没却する結果を招来する違法なものであるとまでは言えない」とした。
大きな懸案とされた厨房等の増築は、国登録有形文化財である清閑亭や同敷地を含む史跡の保存活用を文化庁に「現状変更許可書の交付を受けるという適正な手続きのもとで行われた」とした。
また、市の対応として2つの問題点を指摘した。事前に提示した契約条件の変更可否が検討されなかったことなど「民間提案制度に関する知識・理解不足」。また判断過程で事務処理が主に口頭で行われ、決裁責任者等への情報伝達が不十分だったという「事務手続き上の不備による情報伝達不足」で、これら問題点により「契約条件の変更の適否に疑義が生じ、本勧告の指摘を受けたものであると考えられる」とした。
市は、勧告で指摘されていた他の3項目についても、措置や対応を報告した。
加藤市長「今後も官民連携を」
再調査結果報告にあわせ加藤憲一市長は、「市の事務の進め方を起因として事業者も巻き込み市民の皆様に強い疑念や心配を抱かせ、住民監査請求を受ける事態にまでなったことについて、大変重く受け止めています」とコメントを発表。また「清閑亭利活用の事業者である株式会社JSフードシステムの皆様には、当時の市の対応により、営業に関してご迷惑をお掛けすることとなり、大変申し訳なく思っています。今後も官民連携により、歴史的建造物の利活用を通じた本市の活性化に、取り組んでいきたいと考えています」と述べた。
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