箱根登山電車3000形「アレグラ号」の就役10周年を記念した写真展を行う 大橋 史明(ふみあき)さん 秦野市室町在住 28歳
写真で電車の魅力伝える
○…10年にわたり、箱根登山電車を撮り続ける写真家。あえて一つの路線に集中するのは、「その方が早く上達するから」。何シーズンも過ごしたからこその撮影スポット、タイミングで「一番良いところを切り取った」と、アレグラ号10周年記念にふさわしい作品を展示する。サクラや紅葉など四季折々の風景と茜色のアレグラ号との共演を、「誕生日ケーキ」を作る気持ちで写真に収めた。
○…生まれは滋賀県。実家の前には「湖西線」が走り、電車が通ると家が揺れた。ガタンゴトンと多くの人を乗せ「誰かのために走る」献身的でひた向きな姿に魅了されれたという。中学2年生のときに一眼レフを買ってもらい、以来鉄道写真にのめり込んでいった。
○…東京工芸大学芸術学部写真学科に進学し、写真家の夢を追った。上京して出会ったのが箱根登山電車だった。「これが探していた電車だ」と直感したという。しかし強く惹かれると同時に、撮った写真を見返してこれまでにないハードルも感じた。「乗ったときの楽しさやきれいさが写っていなかった。悔しかったし、これは取り組む価値があるとも思った」
○…撮影の技術以上に「『編集』が写真の本質」と、今回の企画では受け手に伝わる印象を意識して、展示やフォトブックの見せ方に力を注いだ。没入感を出すために参考にしたのは意外にもゲーム『ドラゴンクエスト』や、スタジオジブリのアニメ作品の色彩バランス。何度も色校をして、求めている表現に近づけた。「良い作品は何が良いのか細部を指摘できない」。写真も同じで「言葉になっていないけど、それで伝わる何かがある」。写真の表現を追求してひたすらに撮って編集してを繰り返す、「そのプロセスが面白い」。
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