木工職人の技を競う「木工─1グランプリ」で最高賞のグランプリを受賞した 岩宮 千尋さん 座間市在住 35歳
木で物語を紡ぐ
○…小田原・箱根地域で活動する木工職人の技と発想力を競う「木工-1グランプリ」で121作品の中から頂点に選ばれた。「大会テーマの『こころおどる』を私なりに表現できたのかな」と照れ笑い。作品のイメージは空飛ぶ巨大な飛行船。船体部分の丸い寄木から伸びる細い針金は空想的な浮遊感を表現している。「なにが動力なんだろうとか、ミニチュアになった気分で作品から物語を感じてほしい」
○…木に興味を持ったのは美大生の頃。ゼミ室にあったザラザラした木片ををなんとなく紙やすりで磨いてみた。「だんだんきれいになっていくのが面白くて。木っていいものだなと」。卒業後は小田原の木工雑貨の製作会社に就職。「好きなものを作りたい」と2016年に退職後、座間市内の自宅に「木工房千舟(ちふね)」を構えた。
○…制作の軸は「物語を感じるような作品」。学生時代に虜になったSFやファンタジーの作品がインスピレーションの原点。「わくわくする世界観を形にしたい」、一時は舞台美術を志したこともあったが、「チームでやるよりひとりで考えるのが好きだった」。現在は木工を通して物語を紡ぐ。色合いや木目、さまざまな木の個性により作品の魅力が深まるという。「想像できないような表情を見せてくれる。木の力を借りて作品を形にできています」
○…小田原は第二の故郷という。「職人さんから端材をもらったり、先輩にコンテストの出場を薦めてもらったり」。独立した今も交流が続いている。三の丸ホールに飾られた木工アートに若手職人の一人として携わったことも。「自分が活動できるのも職人の方々が伝統技術を受け継いでいるからこそ」と、尊敬は尽きない。「人のぬくもりに感謝しています」
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