年男インタビュー 相洋高校出身 松坂桃李(とおり)さん(23歳) さらなる飛躍の一年に
「登り龍のように勢いよく、飛躍する年にしたい。常に現状に満足せず、ベストを尽くしていきます」。干支の辰にちなみ今年の抱負をさわやかな笑顔で話す。「年男というおめでたいタイミングなので、良い一年にしたいです」
見る側から演じる側へ
モデル・俳優活動を始めたのは3年前。友人のすすめで雑誌「FINE BOYS」のモデルオーディションに応募したのがきっかけだった。「それまでは芸能界に興味は無く、将来はサラリーマンになって、普通の家庭を築いていくと思っていた」。一読者からモデルへ。同オーディションでグランプリを獲得し、雑誌デビューが決まった時「モデルになるという実感がやっと沸いてきて、嬉しさがこみ上げた」と当時を振り返る。
同雑誌の専属モデルとして活動する中、テレビ番組「侍戦隊シンケンジャー」のオーディションに合格し、俳優へと活動の幅を広げた。それまでの演技経験は皆無。「毎日はじめてのことだらけで、現場で怒られてへこむ日々の繰り返しでした」。だがその経験を積み重ね、着実に自分の力をつけていった。かつてイメージしていたキラキラした世界とはかけ離れた現実に直面した。
仕事は「自分との戦い」
仕事の喜びは「様々な人に出会え、感動を伝えられること」ときっぱり。出演映画の舞台挨拶で観客の前に立ち「自分たちの作品を観て涙を流し、笑ってくれる人がいる。その事実に自分も感動し、この仕事に誇りを持ちましたね」。その時得た「観客の心に何かが響いたという喜び」が次の仕事へのモチベーションにつながっている。それと同時に「何かを伝えることは難しい。やる以上は真剣に取り組まなければ」と責任感も抱くように。現在では映画、テレビドラマ、CMなど様々な作品に出演。演じるときには、作品の世界観に溶け込み、染まることを大切にしている。一つひとつの仕事に向き合うことは「自分との戦いだと思いながら挑んでいます」と真っ直ぐに話す。
地元は自然体でいられる場所
生まれも育ちも茅ヶ崎。両親が史記と中国の故事から「自分らしさを大切に」「誰からも慕われる人に」と願いを込めて「桃李」と名付けた。「珍しいので芸名と間違えられることも多いですが、この名前を気に入っています」。友人には「まっちゃん」と呼ばれ、クラスで目立つ存在ではなく、どちらかといえば消極的な性格だったという。
中学生の頃伸び始めた長身を生かしてバスケ部に所属、高校は相洋高校に進学した。高校時代からスーパーの青果コーナー、定食屋、居酒屋などのアルバイトをこなし、その経験は現在の自分に生きている。「お金を稼ぐことの重みを実感しました。今、めまぐるしい日々でもぶれずにいられるのは、当時の経験のおかげ」。今でも帰省時には、茅ヶ崎海岸に行き、気持ちをリセット。友人とお酒を飲みに行くこともあれば、家族とゆっくり過ごすことも。「茅ヶ崎に帰ってくるとエネルギーが充電できる。自分にとって安らぎの場所です」。茅ヶ崎は自分の原点だという。
最新作では「家族の絆」を
1月28日に公開される東野圭吾原作の映画「麒麟の翼」には被害者の息子役で出演。ごく普通の青年を演じる難しさを感じながら、家族の絆を再確認した。「普段親が当たり前に歩み寄ってくれることのありがたみに気づきました」。幅広い年代に観てもらい、人を信じることの大切さに触れて欲しいという。
器の大きな表現者に
目標とする役者は「麒麟の翼」で共演した阿部寛さん。「演技の幅が広く、様々な引き出しを持つ方。共演したときに器の広さ、大きさを感じました。男の自分から見ても格好良い」。いつか肩を並べ、越えられるくらいになっていきたいという。
これからも自分の可能性を信じて夢を追い続ける。
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