店主は元自衛隊の写真家 華麗(カレー)なるギャラリー
市内早川に一風変わったカレー屋がある。花ライブラリー(早川1の1の21の101/【電話】0465・23・3773)だ。店内の座席数はカウンター5席だけ。その倍以上はある併設のギャラリーには色とりどりの花や昆虫たち、編隊を組む哨戒機、ミサイルを発射するイージス艦など様々な写真が並ぶ。
店を経営するのは物腰の柔らかい話方が特徴的な豊岡保治さん(62)。カウンター越しに写真の話を笑いながら話してくれる豊岡さんのファンは多い。
自衛隊に入った18歳の時に海幕広報に任ぜられ、一眼レフに出会って写真にのめり込んだ。カメラマンとして、厚木・横須賀などの基地に勤務。陸・海・空を股に掛けてきた。デジタルカメラ全盛の今だが、愛用するのは様々な自己流のカスタムが施されたフィルムの一眼レフ。「現役時代は1時間飛ぶのに何百万円と燃料を使うのに、いざ上空に昇ったらカメラが動かない、じゃ洒落にならない。長年の経験でこうなった。他の人がセッティングしている間に撮り終わるよ」とカメラを眺める。フィルムカメラを今も愛する理由は「柔らかい写真が撮りやすい。イメージしているアートな写真はやはりフィルムでないと」とこだわりを見せる。
大分生まれ、名古屋育ち。航空機に乗り写真を撮りに行った帰りに空から小田原を見て「都内からも遠くなく、海や山も近く自然が多い。なんていい所だろう」と思い、小田原に移住を決めた。店内に飾ってある写真は有名な観光地で撮ったかのような素晴らしい写真が並ぶが、ほとんどが近場で撮った写真だという。時間が空いた時にはバイクを走らせ、愛機を担ぎ写真を撮りに出かける。「この季節、あそこにはあの花が咲いているから行こう」と一夜城や荻窪、久野などで被写体を探す。
長年プロとして磨かれた腕は鈍る事なく、長時間・多重露光(シャッターを切る時間を長く設定し、複数の写真を重ねる)などの技術を駆使して、ホタルと月が一枚に収まったものなど、幻想的な写真を撮る。それでも「なかなか難しい。ジッとしていてくれる”いい子”のホタルを探さなきゃいけないからね」と苦労を語る。店内には2万カット以上の写真とポジフィルムが保管されている。
豊岡さんにとって写真とは「人生そのもの」なのだとか。今日も市内でファインダーを覗きこんでいる。
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