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「小田原のこころを届けるプロジェクト」代表 今野 正徳さん 市内成田在住 57歳

公開:2013年1月26日

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一本気の情熱家

 ○…「津波が襲った跡に初めて立ったとき、訳も分からず涙があふれた」。震災2カ月後のことだ。初めて訪れた被災地・相馬を「大好きになっちゃってね。小田原に帰ってからも、なんとかして『相馬を想ってるよ』って伝えたくて」。一昨年前のプロジェクト立ち上げの頃を振り返る口調はまるで、離れて暮らす子どもをおもう父親のよう。心にいつも優しさがある。

 ○…最初に届けたのは小田原みかん。「日本のお正月らしい年越しを」との想いを込めた。以来仮設のお年寄りから編み物の要望があれば毛糸を、といった具合に現地のニーズに応えようと心を砕いてきた。昨夏は参加者を募り被災地支援ツアーを実施、「みんなが思いおもいの心を届ける場を」という気持ちが実現した。

 ○…「高校時代は痩せていたからコツ(骨)って呼ばれていたんだよ」と今では立派になったおなかをなでて笑う。家業の工務店を継ぐにあたり、親方である父には厳しく仕込まれた。家は人の財産とも呼べるもの。「形に残るものを作れる仕事は魅力的」とこの道36年でも情熱は変わらない。職人人生で、忘れられない思い出がある。仕事が減り焦りを感じていたとき、かつての施工主に言われた「腕を安く売るな」の一言。職人としてのプライドを忘れかけていた自分に気づかせてくれたその人を始め「人生は出会いの連続」と穏やかに語る。好きな言葉をそのまま歌詞に表わしたかのような、小金沢昇司の「ありがとう…感謝」がカラオケの十八番だ。

 ○…ビールを筆頭に大好きなお酒を飲めば陽気になったあと泣き上戸になる、なんとも「めんどうくさい」一面も。被災地を訪れても、別れの時にはいつも涙があった。震災から間もなく2年、被災地に寄せられる関心は薄くなっていると感じる。「時の流れとともに支援のかたちも変わるもの。背伸びしないで長く被災地とつながりたい」。熱い気持ちを胸に表情を引き締めた。
 

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